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姦譎の華
第5章 5



「稲ちゃん、ちょっとは落ち着けって」

 突如立ち上がって窓から外を覗きに行ったかと思えば、戻ってきて別の椅子を引く。稲田はまるで勤行かのように繰り返していた。

 そういう島尾も、4の字に組んだ太ももへ手汗を滲ませている。

「や、やっぱり……やめたほうがいいんじゃないですかね?」
「いまさら何言ってんだ。心配すんなって、ああいうお高く止まった女ってのはな、意外とあっさり落ちるもんなんだぜ?」

 本当にそうだろうか?
 稲田は甚だ疑わしく思った。

 だいたい島尾という男は、昔からガサツで思い込みが激しい。洞察力があるところをやたら誇りたがるが、見立ては外れることのほうが大半だ。特に、女というものは、という導入句がつく時ほど危ない。

「でも、いくらなんでも遅過ぎませんか?」

 壁の時計を面で示すと、

「それは……。ま、そのうち来るって。そんなビクビクしてたらナメられるぞ。稲ちゃんだってさ、あの生意気なオッパイ、おもいっきしモミモミしてやりたいだろ?」

 指を広げて曲げ伸ばししてみせる。

 答えになっていない。つまり何の目算もないのだ。
 しかも、下品な擬態語と仕草で聖女を愚弄した。

 たしかに、あの人のバストは魅力的だ。

 だが極論を言えば、所詮は皆が具有しているものにすぎない。この先輩は何もわかってはいなかった。あの稀有のスタイルは──ひれ伏したいほど素晴らしい御姿は、女性的だとか、肉感的だとか、ありきたりで人間臭い美質なんかで片づけられるものではないのだ。

(ふん……)

 島尾は舌打ちをして、わけもなく太ももを叩いた。

 親指の爪を齧る稲田を見ているだけでイラついてくる。そんなに怯えるのだったら、今すぐここを逃げ出してくれていい。そうすれば、あの女を独占することができる。あのバストを、ふたつながらに自分のものにできるのだ。

 あの胸に食いつかないなんて、どうかしているとしか思えなかった。

 一定レベル以上の男、たとえば社長室長のような色男にしか触れさせてこなかったのだろう、女の魂胆を実らせたようなふくらみを、思う存分嬲り、澄ました貌を屈辱に歪ませてやってこそ、男ぶりが上がるというものなのに。

 俺は根本的に、軟弱な変態フェチ野郎とは意気地が違うんだ──
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