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姦譎の華
第13章 13
 迷っていた稲田だったが、結局は傍にあったコピー用紙の詰まったダンボールを引きずり始めた。ヒップの下に差し入れるその頭を蹴り飛ばしてやりたくても、島尾が気を回した通り、空気椅子を続けている太ももには甚だしい負荷がかかっており、パンプスを浮かせるだけの力は残っていなかった。

「じゃあな。おとなしく待ってろよ」

 やむなく多英が腰を下ろしたのを見届けると、立ち上がりざまバストをもうひと揉みした島尾は、項垂れている稲田を連れて出口へと向かった。

 電灯が消え、鉄扉が閉じられると全くの闇となる。
 呻いた多英に応えたのは、カシャンと響いた施錠音だけだった。










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