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旧家のしきたり
第3章 最初の試練
夜になった。
僕は美穂と分かれ、御三家の一人、清さんに屋敷の一番奥の部屋に連れて行かれた。子供の頃、決して入ってはいけないと言われていた部屋だ。扉を開けると、中は座敷牢になっていた。
「ここは昔、親族の蟄居部屋として使われていました。今で言う反省室というところでしょうか。ですから造りはきちんとしています」
確かに木製の格子状の壁で部屋の中が仕切られていることや、天井付近の小さな明り取り以外に窓がないところを除けば、普通の部屋とそんなに変わらない。奥の壁には、タペストリーのようなものも飾られていて、雰囲気はそんなに悪いものではなかった。
「と言っても、そうそう蟄居が必要なことがあるわけではありませんから、普段は、その時々の当主が女性を連れ込む部屋として使っていたようです。先々代、坊ちゃんのおじい様のときもそうでした。
奥様は、昔からこの部屋がお嫌いでした。辛い思い出があるのかも知れません。当主になられると、中の家財を整理して封印されました。今は余程のことがない限り、使われることはありません」
「そうだったんだ」
僕は、母さんやこの家のことについて、何も知らないことに改めて気づかされた。
「さあ、坊ちゃん、中へどうぞ」
清さんに促され、僕は部屋の中へ足を踏み入れた。
僕は美穂と分かれ、御三家の一人、清さんに屋敷の一番奥の部屋に連れて行かれた。子供の頃、決して入ってはいけないと言われていた部屋だ。扉を開けると、中は座敷牢になっていた。
「ここは昔、親族の蟄居部屋として使われていました。今で言う反省室というところでしょうか。ですから造りはきちんとしています」
確かに木製の格子状の壁で部屋の中が仕切られていることや、天井付近の小さな明り取り以外に窓がないところを除けば、普通の部屋とそんなに変わらない。奥の壁には、タペストリーのようなものも飾られていて、雰囲気はそんなに悪いものではなかった。
「と言っても、そうそう蟄居が必要なことがあるわけではありませんから、普段は、その時々の当主が女性を連れ込む部屋として使っていたようです。先々代、坊ちゃんのおじい様のときもそうでした。
奥様は、昔からこの部屋がお嫌いでした。辛い思い出があるのかも知れません。当主になられると、中の家財を整理して封印されました。今は余程のことがない限り、使われることはありません」
「そうだったんだ」
僕は、母さんやこの家のことについて、何も知らないことに改めて気づかされた。
「さあ、坊ちゃん、中へどうぞ」
清さんに促され、僕は部屋の中へ足を踏み入れた。