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旧家のしきたり
第1章 プロローグ
付き合ってちょうど1年が経ったとき、僕は思い切って美穂にプロポーズした。

「僕のお嫁さんになってください!」

突然大きな声を出したので、美穂は驚いたように瞳を見開いたが、僕が先生に叱られたいたずらっ子のように頭を下げながら、不安げに美穂の顔を伺っているのが分かると、ニコリと笑みを浮かべて、

「はい。優斗さんのお嫁さんになります。不束者ですがよろしくお願いします」と言ってくれた。

「やったあ!」

僕は雄叫びを上げると、美穂をきつく抱きしめた。そのまま美穂は、僕の胸に顔をうずめて泣いた。僕の腕の中で、美穂の華奢な肩が小刻みに震えていた。

胸の奥から熱いものが込み上げてきた。

命をかけてこの女性を守る――。新たな使命が加わったのを僕は感じた。
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