この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第2章 仕方のない問題
スグリ姫は婚約披露の際に、ビスカスを「お友達」と言っておりました。茶会の時にはローゼルの事も、ローゼルの祖母に「頼りになるお友達」と話しておりました。その二人が婚約すると思い込んでいるのに婚約はご破算になったと伝えたら、どうなるでしょう。
突拍子も無い行動が得意なスグリ姫の事ですから、都に戻らない等と言い出しかねません。
「心配しなくとも、大丈夫よ」
バンシルに答えながら、ローゼルは不思議な気持ちで居りました。
ローゼルが荒れると、ビスカスはあれこれと世話を焼いて宥めてくれました。兄のタンム卿は、宥めようとして却ってローゼルの気持ちを逆撫でしました。
目の前に居る侍女には、決して宥められた訳では有りません。けれども、「面倒だからビスカスとの婚約が流れた事を私の主に伝えるな」という、普通だったらローゼルを怒らせそうなやり取りをしていると言うのに、話している間にローゼルの気持ちは少しずつ落ち着いて来たのです。
「あなたのご主人を困らせる様な事は、私も望んで居りません。婚約が正式に決まるまで、スグリ様には何も悟られない様にするわ」
「……恐れ入ります。有り難う御座います」
深々と頭を下げたバンシルを見て、ローゼルはふとこの侍女を少々揶揄ってみたくなりました。
「その代わりと言っては何だけど……お兄様の事を、宜しくお願いね」
「……お兄様の事は頼まれても困りますが、お兄様からの頼まれ事につきましては、精一杯務めさせて頂きます」
バンシルは一瞬だけ素で嫌そうな顔をして、その後何事も無かったかの様に、再び頭を下げたかけ……たところ、何の先触れも無く突然扉が開かれました。
「ロゼ!!」
扉も叩かず尋ねもせずに入ってきたのは、話題に上っていたばかりのローゼルの兄のタンム卿でした。
「……お静かに、お兄様。お客様に失礼よ」
「ああ、バンシルちゃんか。失礼するよ、急用なもので」
「!」
(バンシル……ちゃんっ!?)
兄が子どもはともかく女性相手には普段使わない呼び方をしているのを聞き、ローゼルは驚きました。驚いて思わずバンシルを見ると、バンシルも驚いたのか目を剥いておりました。
驚きの原因を作ったタンム卿は女二人の様子には全く頓着せず、ローゼルの方を向いて言いました。
「お前の見合いのお相手が決まったぞ。従兄弟のリアンだ」
突拍子も無い行動が得意なスグリ姫の事ですから、都に戻らない等と言い出しかねません。
「心配しなくとも、大丈夫よ」
バンシルに答えながら、ローゼルは不思議な気持ちで居りました。
ローゼルが荒れると、ビスカスはあれこれと世話を焼いて宥めてくれました。兄のタンム卿は、宥めようとして却ってローゼルの気持ちを逆撫でしました。
目の前に居る侍女には、決して宥められた訳では有りません。けれども、「面倒だからビスカスとの婚約が流れた事を私の主に伝えるな」という、普通だったらローゼルを怒らせそうなやり取りをしていると言うのに、話している間にローゼルの気持ちは少しずつ落ち着いて来たのです。
「あなたのご主人を困らせる様な事は、私も望んで居りません。婚約が正式に決まるまで、スグリ様には何も悟られない様にするわ」
「……恐れ入ります。有り難う御座います」
深々と頭を下げたバンシルを見て、ローゼルはふとこの侍女を少々揶揄ってみたくなりました。
「その代わりと言っては何だけど……お兄様の事を、宜しくお願いね」
「……お兄様の事は頼まれても困りますが、お兄様からの頼まれ事につきましては、精一杯務めさせて頂きます」
バンシルは一瞬だけ素で嫌そうな顔をして、その後何事も無かったかの様に、再び頭を下げたかけ……たところ、何の先触れも無く突然扉が開かれました。
「ロゼ!!」
扉も叩かず尋ねもせずに入ってきたのは、話題に上っていたばかりのローゼルの兄のタンム卿でした。
「……お静かに、お兄様。お客様に失礼よ」
「ああ、バンシルちゃんか。失礼するよ、急用なもので」
「!」
(バンシル……ちゃんっ!?)
兄が子どもはともかく女性相手には普段使わない呼び方をしているのを聞き、ローゼルは驚きました。驚いて思わずバンシルを見ると、バンシルも驚いたのか目を剥いておりました。
驚きの原因を作ったタンム卿は女二人の様子には全く頓着せず、ローゼルの方を向いて言いました。
「お前の見合いのお相手が決まったぞ。従兄弟のリアンだ」