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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第2章 仕方のない問題
ローゼルがビスカスに断られたと言う話が領主に伝えられて見合い相手探しが始まり、候補が幾人か決まったのが、一昨々日。候補に見合いの件を打診したのが、一昨日。昨日今日はその返事が返って来るか来ないか……と言った所です。「見合いをする」という事は決まっているものの、詳細はまだ決定しておりません。
見合いする事を知っているのも父親と兄達だけで、義母には知らせるタイミングを計っている状態です。それなのに、なぜスグリ姫の侍女が、見合いの件を知っているのでしょう。
「つい先程、少々頼まれ事を致しまして。その際にお聞きしたんですよ」
柳眉を逆立てかけたローゼルに、バンシルは軽く答えました。
「頼まれ事?誰に?」
「ローゼル様の下のお兄様に、です」
バンシルは、頼まれ事の内容と、頼まれた経緯をローゼルに告げました。それはビスカスが刺された事件に関わる事で、解決の一端になりそうな事で、確かにスグリ姫ではなくバンシルに頼む方が相応しいと思える様な事でした。
聞き終えたローゼルは、深い溜め息を吐きました。
「そう……仕方の無い事ね……」
「ええ、そうですね。仕方は有りませんが、必要な事ですので」
「それ、私に話しても良かったの?」
「特に悪くは無いのでは?ローゼル様は絶対に仕掛けた側の人間では無いでしょうし、無闇に口外なさらないでしょうし……それに、私だけがローゼル様の秘密を知っているのも不公平かと」
「……お見合いの件は、スグリ様にも他の人にも、わざわざ知らせる気は無いわ」
見合いを知った事の引き換えに頼まれ事の詳細を聞かされたかの様なバンシルの物言いに、ローゼルは苦笑しました。
「お兄様に頼まれたのなら、おおよそは聞いているのでしょう?後継者の交替は、なるべく人に知られない内に終わらせたいの。結婚は後継者になる条件ですもの。静かに終えられるなら、お相手なんて誰でも良いのよ」
「……誰でも良いって事は無いでしょう」
侍女が淡々と言った言葉は、投げ遣り気味になっていたローゼルの胸に、小さくちくりと刺さりました。
「少なくともスグリ様にとっては、誰でも良くは無いんです。……ですので、全て決着されてから伝わった方が、波風が立たないのではないかと」
「そう……」
婚約者の変更を聞いた時のスグリ姫の反応を想像して、ローゼルはうっすらと笑いました。
見合いする事を知っているのも父親と兄達だけで、義母には知らせるタイミングを計っている状態です。それなのに、なぜスグリ姫の侍女が、見合いの件を知っているのでしょう。
「つい先程、少々頼まれ事を致しまして。その際にお聞きしたんですよ」
柳眉を逆立てかけたローゼルに、バンシルは軽く答えました。
「頼まれ事?誰に?」
「ローゼル様の下のお兄様に、です」
バンシルは、頼まれ事の内容と、頼まれた経緯をローゼルに告げました。それはビスカスが刺された事件に関わる事で、解決の一端になりそうな事で、確かにスグリ姫ではなくバンシルに頼む方が相応しいと思える様な事でした。
聞き終えたローゼルは、深い溜め息を吐きました。
「そう……仕方の無い事ね……」
「ええ、そうですね。仕方は有りませんが、必要な事ですので」
「それ、私に話しても良かったの?」
「特に悪くは無いのでは?ローゼル様は絶対に仕掛けた側の人間では無いでしょうし、無闇に口外なさらないでしょうし……それに、私だけがローゼル様の秘密を知っているのも不公平かと」
「……お見合いの件は、スグリ様にも他の人にも、わざわざ知らせる気は無いわ」
見合いを知った事の引き換えに頼まれ事の詳細を聞かされたかの様なバンシルの物言いに、ローゼルは苦笑しました。
「お兄様に頼まれたのなら、おおよそは聞いているのでしょう?後継者の交替は、なるべく人に知られない内に終わらせたいの。結婚は後継者になる条件ですもの。静かに終えられるなら、お相手なんて誰でも良いのよ」
「……誰でも良いって事は無いでしょう」
侍女が淡々と言った言葉は、投げ遣り気味になっていたローゼルの胸に、小さくちくりと刺さりました。
「少なくともスグリ様にとっては、誰でも良くは無いんです。……ですので、全て決着されてから伝わった方が、波風が立たないのではないかと」
「そう……」
婚約者の変更を聞いた時のスグリ姫の反応を想像して、ローゼルはうっすらと笑いました。