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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第3章 器用さの問題
「お茶も良いけど、久し振りに会ったんだ。よーく、顔を見せてくれない?」
「ええ……そうね。会うのは二年振り位かしら?」
「そうだね、前に会ったのは、叔父さんや姉さん達が家に避暑に来た時だから」
「伯母様はお元気?」
「ああ。皆さんと、姉さんにーー未来の娘に、宜しくって」
「まあ!伯母様ったら……まだお見合いは始まっても居ないのに」
「僕にとっては、お話を頂いた時に終わったも同然だよ?だって、ずっと思ってたんだから。姉さんみたいに美しい人が僕のお嫁さんになってくれたら、どんなに良いだろうって」
「リアン……」
困った様な顔で赤くなったローゼルに、リアンは微笑みました。
リアンの母であるローゼルの伯母は、ローゼルの母とすぐ上の姉と並んで、美人三姉妹として名高かった人です。その母と同様、息子達もそれぞれに大層美しい顔立ちをしておりました。中でもリアンは小さい頃から美しい少年として有名で、男性ながら母の呼び名を引き継いで、麗氷の百合と称されておりました。子どもの頃に美しくても成長すると顔立ちが変わる男子も多いものですが、リアンは幸いなことに成長と共に更に美しく育ちました。街ですれ違った人々が思わず振り向く程の、女性が横に並ぶことを気後れする程の美青年で有ったのです。
「うん、やっぱり綺麗だ。そのドレスも、とても良く似合ってる。前に会ったときより、ますますお美しくなった」
「有難う。お世辞でも、嬉しいわ」
「お世辞なんかじゃないよ?知ってるでしょう、僕が前から姉さんに憧れてた事」
「……ええ」
ローゼルは、歯切れの悪い返事をしました。
リアンはローゼルより三つも年下です。末っ子で良い家のお坊ちゃんで美しいリアンは、ローゼル以上に甘やかされ、何もかも叶えられて育ちました。そんなリアンは、小さい頃からローゼルに会うとべったりと付いて回る、我が儘な弟の様な存在でした。恋愛対象として見たことも、結婚相手としても見た事も、この話が持ち上がるまでは一度も無かったのです。
「……姉さんを僕の物に出来るなんて、夢みたいだ……」
「だから、まだ決まった訳じゃ」
「ロゼって呼んでも、良いよね?」
「……ええ」
その愛称は父と兄達しか使っておりませんが、従兄弟で見合いの相手なのですから、断るのも不自然です。一瞬の躊躇いの後に頷くと、リアンは嬉しそうにローゼルの両手を取りました。
「ええ……そうね。会うのは二年振り位かしら?」
「そうだね、前に会ったのは、叔父さんや姉さん達が家に避暑に来た時だから」
「伯母様はお元気?」
「ああ。皆さんと、姉さんにーー未来の娘に、宜しくって」
「まあ!伯母様ったら……まだお見合いは始まっても居ないのに」
「僕にとっては、お話を頂いた時に終わったも同然だよ?だって、ずっと思ってたんだから。姉さんみたいに美しい人が僕のお嫁さんになってくれたら、どんなに良いだろうって」
「リアン……」
困った様な顔で赤くなったローゼルに、リアンは微笑みました。
リアンの母であるローゼルの伯母は、ローゼルの母とすぐ上の姉と並んで、美人三姉妹として名高かった人です。その母と同様、息子達もそれぞれに大層美しい顔立ちをしておりました。中でもリアンは小さい頃から美しい少年として有名で、男性ながら母の呼び名を引き継いで、麗氷の百合と称されておりました。子どもの頃に美しくても成長すると顔立ちが変わる男子も多いものですが、リアンは幸いなことに成長と共に更に美しく育ちました。街ですれ違った人々が思わず振り向く程の、女性が横に並ぶことを気後れする程の美青年で有ったのです。
「うん、やっぱり綺麗だ。そのドレスも、とても良く似合ってる。前に会ったときより、ますますお美しくなった」
「有難う。お世辞でも、嬉しいわ」
「お世辞なんかじゃないよ?知ってるでしょう、僕が前から姉さんに憧れてた事」
「……ええ」
ローゼルは、歯切れの悪い返事をしました。
リアンはローゼルより三つも年下です。末っ子で良い家のお坊ちゃんで美しいリアンは、ローゼル以上に甘やかされ、何もかも叶えられて育ちました。そんなリアンは、小さい頃からローゼルに会うとべったりと付いて回る、我が儘な弟の様な存在でした。恋愛対象として見たことも、結婚相手としても見た事も、この話が持ち上がるまでは一度も無かったのです。
「……姉さんを僕の物に出来るなんて、夢みたいだ……」
「だから、まだ決まった訳じゃ」
「ロゼって呼んでも、良いよね?」
「……ええ」
その愛称は父と兄達しか使っておりませんが、従兄弟で見合いの相手なのですから、断るのも不自然です。一瞬の躊躇いの後に頷くと、リアンは嬉しそうにローゼルの両手を取りました。