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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第3章 器用さの問題
そうこうしている内に、ビスカスは独特な持ち方を駆使して、なんとかお茶を淹れ終えました。目の前に置かれた茶器をよくよく見ると皿に多少お茶が零れているものの、何も壊さなかったのはビスカスにしては上出来です。
ローゼルは我知らずほっとして、肩の力が抜けました。
「今回リアン様は、お嬢様のお見合いのお相手として招かれたと伺っております。そのような御方に失礼な振る舞いをする気は、毛頭御座いません」
「……お前、もう下がって。」
リアンに手で示されて、ビスカスは失礼致します、と下がって行きました。部屋に居た間ローゼルとは一度も目が合いませんでしたが、ローゼルはとにかく無事にお茶が供されたことに、胸を撫で下ろしておりました。
「淹れた人間はともかく、お茶は最高ですね」
「お口に合って良かったわ。干した果物が入っているのよ」
「良い香りだ。この地の習慣は、華やかで素敵だな。北よりよっぽど僕の好みに合いますよ」
「そう?気に入って下さって、有り難う」
(……そうよ。リアンは私と結婚してこの家に入る為に、わざわざ来てくれたのですものね……)
自分がリアンとの再会をただ懐かしくだけ思っていた事を、ローゼルは反省しました。リアンは単に遊びに来た訳では無いのです。結婚して婿に入る事を前提とした、見合いの為に来たのです。
(しっかりしなく……ちゃ?!)
「りっ!?リアンっ?!」
「なあに、ロゼ?」
気付けば、リアンは随分側に来て居ました。
「そろそろお父様のご用が、終わったかも」
「そう?誰も呼びに来ないけど」
リアンはローゼルの髪を一房取って、口づけました。
「気を利かせてくれているのかな?僕達が、従兄弟としてよりもっと深く知り合える様に」
リアンはそう言うと、ローゼルの首筋に顔を寄せました。
「いい匂いがするね?さすが、水晶の薔薇だ」
「ちょっ……リア」
「失礼致します」
「っ!!!!」
薔薇の花片の様に滑らかな細い首筋に唇が触れるか触れないかと言うところで突然扉が開かれて、ローゼルとリアンは固まりました。
「本当に失礼だな、お前!何の用!?」
「申し訳御座いません。先程、肝心なご挨拶を失念致しまして……
ようこそお出で下さいました、リアン様。私はローゼルお嬢様にお仕えしているビスカスと申します。お見知り置き頂けましたら、幸いで御座います」
ローゼルは我知らずほっとして、肩の力が抜けました。
「今回リアン様は、お嬢様のお見合いのお相手として招かれたと伺っております。そのような御方に失礼な振る舞いをする気は、毛頭御座いません」
「……お前、もう下がって。」
リアンに手で示されて、ビスカスは失礼致します、と下がって行きました。部屋に居た間ローゼルとは一度も目が合いませんでしたが、ローゼルはとにかく無事にお茶が供されたことに、胸を撫で下ろしておりました。
「淹れた人間はともかく、お茶は最高ですね」
「お口に合って良かったわ。干した果物が入っているのよ」
「良い香りだ。この地の習慣は、華やかで素敵だな。北よりよっぽど僕の好みに合いますよ」
「そう?気に入って下さって、有り難う」
(……そうよ。リアンは私と結婚してこの家に入る為に、わざわざ来てくれたのですものね……)
自分がリアンとの再会をただ懐かしくだけ思っていた事を、ローゼルは反省しました。リアンは単に遊びに来た訳では無いのです。結婚して婿に入る事を前提とした、見合いの為に来たのです。
(しっかりしなく……ちゃ?!)
「りっ!?リアンっ?!」
「なあに、ロゼ?」
気付けば、リアンは随分側に来て居ました。
「そろそろお父様のご用が、終わったかも」
「そう?誰も呼びに来ないけど」
リアンはローゼルの髪を一房取って、口づけました。
「気を利かせてくれているのかな?僕達が、従兄弟としてよりもっと深く知り合える様に」
リアンはそう言うと、ローゼルの首筋に顔を寄せました。
「いい匂いがするね?さすが、水晶の薔薇だ」
「ちょっ……リア」
「失礼致します」
「っ!!!!」
薔薇の花片の様に滑らかな細い首筋に唇が触れるか触れないかと言うところで突然扉が開かれて、ローゼルとリアンは固まりました。
「本当に失礼だな、お前!何の用!?」
「申し訳御座いません。先程、肝心なご挨拶を失念致しまして……
ようこそお出で下さいました、リアン様。私はローゼルお嬢様にお仕えしているビスカスと申します。お見知り置き頂けましたら、幸いで御座います」