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お嬢様の憂鬱(「ビスカスくんの下ネタ日記」サイドストーリー)
第10章 痛みの問題
「……あんた、ご存知じゃあ無ぇんですか?」
ローゼルは、ずっと我慢していた物が、溢れて止まらなくなりました。ビスカスは、背中を柔らかく撫でてくれました。
「下らないな。知ってようが知らなかろうが、関係無いだろ?そんな事は、世話をする使用人が知って居れば良い事だ」
「下らねえ?関係ねぇって、何ですか?あんた、夫になるんですよね?奥様の事をきちんと見て、知って、大事に扱うってなぁ、下らねぇ事なんかじゃねぇでしょうが。夫より使用人の方が奥様を知ってるってなぁ何の冗談ですかい?お嬢様を、ちゃんと大事にしようとなさってんですか?」
「当然だろ。僕はロゼを愛している。子どもの頃から、ずっとだ」
「口ばっかなら、誰でも言えらぁね。愛してる女を自分の勝手で傷付けて、女の苦手な事にも聞く耳持たねぇってなぁ、どういう了見ですかい?」
「お前、本っ当に失礼だな……ロゼ、おいで」
リアンの不愉快そうな声が聞こえ、その手がローゼルの腰に回って、ぐいっと引かれかけました。
「っ」
「止めて下せえ」
ローゼルが何も言わないうちに、ビスカスがリアンの手を払い退けました。
「何するんだ!」
「何すんだは、こっちの台詞でさあ。お嬢様は腰のその辺に手を回されるなぁ、大っ嫌いなんだ。今までもそうなさった事が有るんなら、嫌そうになさってたのを見た筈だ」
見たどころか、ローゼルは、止めて欲しいと何度かリアンに頼んで居ます。リアンはその度に、ローゼルに「慣れろ」と言うだけでした。
「そんな事も知らねぇで、ご本人に何がお嫌で何がお好きか聞きもしねぇでーーそれより何より、お嬢様とあんなに一緒に過ごした癖にそんな簡単な事にも気が付かねぇで、どの面下げて『愛してる』なんて言ってんですか!?」
リアンへの怒りの為でしょう。ビスカスの声は、段々大きく、険しくなって行きました。
ローゼルは何故だか、その声を怖いとは思いませんでした。リアンの声は大きくなくとも、責められている様で怖いと思う事が、何度か有ったものですが。
「……今更だって事ぁ、分かってます。でも、俺ぁあんたがお嬢様の夫になるなぁ、反対だ。お嬢様はこのままじゃあ、幸せになんてなれっこ無え。
俺は、親族の端っくれとして、この婚約に異議を申し立てます」
ローゼルはビスカスの言葉を聞いて、周りの音が全部消えた様な気がしました。
ローゼルは、ずっと我慢していた物が、溢れて止まらなくなりました。ビスカスは、背中を柔らかく撫でてくれました。
「下らないな。知ってようが知らなかろうが、関係無いだろ?そんな事は、世話をする使用人が知って居れば良い事だ」
「下らねえ?関係ねぇって、何ですか?あんた、夫になるんですよね?奥様の事をきちんと見て、知って、大事に扱うってなぁ、下らねぇ事なんかじゃねぇでしょうが。夫より使用人の方が奥様を知ってるってなぁ何の冗談ですかい?お嬢様を、ちゃんと大事にしようとなさってんですか?」
「当然だろ。僕はロゼを愛している。子どもの頃から、ずっとだ」
「口ばっかなら、誰でも言えらぁね。愛してる女を自分の勝手で傷付けて、女の苦手な事にも聞く耳持たねぇってなぁ、どういう了見ですかい?」
「お前、本っ当に失礼だな……ロゼ、おいで」
リアンの不愉快そうな声が聞こえ、その手がローゼルの腰に回って、ぐいっと引かれかけました。
「っ」
「止めて下せえ」
ローゼルが何も言わないうちに、ビスカスがリアンの手を払い退けました。
「何するんだ!」
「何すんだは、こっちの台詞でさあ。お嬢様は腰のその辺に手を回されるなぁ、大っ嫌いなんだ。今までもそうなさった事が有るんなら、嫌そうになさってたのを見た筈だ」
見たどころか、ローゼルは、止めて欲しいと何度かリアンに頼んで居ます。リアンはその度に、ローゼルに「慣れろ」と言うだけでした。
「そんな事も知らねぇで、ご本人に何がお嫌で何がお好きか聞きもしねぇでーーそれより何より、お嬢様とあんなに一緒に過ごした癖にそんな簡単な事にも気が付かねぇで、どの面下げて『愛してる』なんて言ってんですか!?」
リアンへの怒りの為でしょう。ビスカスの声は、段々大きく、険しくなって行きました。
ローゼルは何故だか、その声を怖いとは思いませんでした。リアンの声は大きくなくとも、責められている様で怖いと思う事が、何度か有ったものですが。
「……今更だって事ぁ、分かってます。でも、俺ぁあんたがお嬢様の夫になるなぁ、反対だ。お嬢様はこのままじゃあ、幸せになんてなれっこ無え。
俺は、親族の端っくれとして、この婚約に異議を申し立てます」
ローゼルはビスカスの言葉を聞いて、周りの音が全部消えた様な気がしました。