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契り【~初身世】
第3章 初身世【一人目】
沙羅さんと私は長い廊下を歩く。
廊下を歩く度、障子からは三味線や太鼓の音、男女の歌声や笑い声が聞こえた。
賑やかな声を聞きながらしばらく歩いていると…
「この部屋だよ。」
「ッ!…ハイ」
沙羅に案内され、部屋に着くと途端に不安が襲ってきた。
「…大丈夫?」
沙羅が心配そうに聞く。
『恐いけど…これ以上沙羅さんに迷惑かけられないっ!!』
「だっ大丈夫ですっ!沙羅さん、ここまで本当にありがとうございます。」
私は顔を上げて精一杯笑顔を作り、沙羅さんにお礼を言う。
「そう?じゃあ、頑張ってね!…もし何かあればすぐに渡した笛を吹くか、呼び鈴を鳴らしてね!そうすれば女将か従業員がすぐに駆けつけて来るから。」
「わかりました。」
私がが笑顔で頷くと、沙羅さんも小さく笑う。
「じゃあ、私は契約した神が待っているから…」
「はい、ありがとうございます。」
私と沙羅さんはお互い小さく手を振って別れる。
沙羅さんの姿が見えなくなり、私は障子の方へ向く。
この部屋に私の…初めてお相手する方がいる……
どんな方だろうか…
なぜ私を選んだのだろうか…?
……私を選んで、がっかりするだろうか?
色々な事を思いながら私は廊下に座り、障子をゆっくり開ける。
「失礼します。」