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契り【~初身世】
第3章 初身世【一人目】
「失礼します」
障子がゆっくり開き、私は床に手をつきゆっくり頭を下げる。
「ああ…来たか。」
部屋の中から男性の低い声が聞こえた。
頭を上げて中を見ると蝋燭の火で灯してあるため、部屋の中が薄暗かった。
桜の絵の屏風越しから、一人の男性が見えた。
「…どうした?早くこっちに来い!」
「ハッハイ!」
男性に言われて私は中に入ると障子がしまり、私は屏風まで歩き再び座り頭を下げる。
「はじめまして、塁と言います。よろしくお願いします。」
緊張して、若干片言のようになってしまった…
手は汗ばみ、身体が震えてる。
どうしよう…
怖いっ!
相手は神様だよっ!!
それに…もしこの方が「D坂の殺人事件」の犯人のようなSM趣味だったらどうしようっ!?
「D坂殺人事件」とは、現世の日本のミステリー作家の一人「江戸川乱歩」の小説である。
団子坂にある古本屋の若い奥さんが、首を絞められ殺害された。
犯人は近くにある蕎麦屋の主人だった。
主人はSで殺された奥さんはMだった。
二人はSMプレイで楽しんでいるとき、力加減を知らない主人は首を強く絞めてしまい、奥さんを殺してしまった…
この『月琴楼』には物置部屋がいくつもあり、書物を保管している部屋もある。
八咫烏様と決まった日、失礼が無いようにと着物や下着、簪や化粧品等を揃えるため、私は『月琴楼』に毎日連れてかれ、時間があるときは書物を読み少しでも現世の事や世の中の事を知るために勉強をしていた。
…どうしよう
私、殺されちゃうのかな!?
…死神でも死ぬってあるのかな?
恐怖のあまり、色々な事を考えてしまう…
「…どうした?顔をあげないのか?」
「ッ!?」
低い声が聞こえすぐに頭をあげる。
目の前に居たのは…
金色の鋭い瞳の
修行僧の格好をした…
素敵な男性だった。