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契り【~初身世】
第4章 八咫烏
塁は『八咫烏様』は、黒いカラスの化け物の姿を想像していた。
尖った大きな嘴で自分は引き裂かれるように喰われてしまう…と思っていた……
仮に喰われなくても、痛ぶり血を見るのを喜ぶ破壊的な性格を想像していた。
…でも、
「…………」
「………」
目の前に居たのは…
修行僧の着物を着ている凛々しい男性だった。
体格が良くがっしりした…でも、筋肉質ではなく腕や脚は逞しく丁度良く細い。
肌は健康的なオークルでふさふさした短い栗色の髪。
切れ長の鋭い金色の瞳。
紅い盃を片手に持ち、上座に座っている姿は、名軍の武将のように真っ直ぐで上品で…凛々しい。
「…どうした?」
「…ッ!!?もっ申し訳ございませんっ!!!」
思わず見惚れてしまった塁は、八咫烏に問いかけられすぐに気付き深く頭を下げて謝る。
「…なぜ謝る?」
「あの…その……想像していたのと全然違っていて、思わず見惚れてしまった事に不快な思いをされたのかと…………」
「…ほう。何を想像していた?」
「ッ!?」
…烏の化け物……とは言えない。
どうすれば良いのかと考えているうちに、塁は無知な自分に不安と恐怖が一気に胸から混み上がり、瞳から涙がボロボロと出てきた。