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契り【~初身世】
第4章 八咫烏
「…どうした!?」
塁の肩が震えているのに気づいた八咫烏は、塁に近づき優しく背中を撫でる。
「ご…ゴメッ……ゴメンなさい……ッ!」
塁の碧色の瞳から大粒の涙がボロボロ落ちる。
せっかく指名してくれた方の前で泣いてしまった…
もう…飽きられてしまったかもしれない……
塁の目を瞑り着物の袖で顔を隠す。
すると塁の身体を包みこむように、八咫烏は優しく塁を抱きしめる。
「…すまない。」
「…!?」
「何もかも初めてなのだろう?神の事も、男の事も…これからの行為も…」
「………」
「恐がるのも無理はない…」
抱きしめられた塁は八咫烏の胸の中で、柔らかい声を聞く。
「本当に済まない…ワシはどうも笑顔が苦手でな…他の連中みたいに面白い話ができない……」
「…」
塁は俯いていた頭を上げて八咫烏を見上げる。
顔を上げた塁のに流れる涙を八咫烏は指で優しく拭う
「お前の嫌がる事はしない。約束する!」
「…」
八咫烏は真っ直ぐ塁を見る。
『八咫烏様はもしかして不器用な方で…実は良い方なのかもしれない。』
「…はい、八咫烏様。私はもう大丈夫です。」
塁は安心して笑顔で八咫烏を見る。
八咫烏は安心したように薄く笑い、塁を再び抱きしめ優しく頭を撫でる。