この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契り【~初身世】
第1章 渡り橋
「…どうでしたか?現世は」
「…今のが、現世!?」
「そうです。断片的にですが、今現世で起こっている映像ですよ。」
今福線は脱力したようにその場に寝転ぶ。
「みんな…辛そうだった……死ぬことに。」
「…」
「『死』って…みんな辛いことなんだね。」
溢れ出した涙が頬へと流れ落ちる。
弥勒は今福線の横にゆっくり座る。
「人の命は花のように儚い。」
「人や草木…物などには『時間』という鎖で縛られ…逆らう事はできない。」
「…」
「でも、みんな懸命に生き抜こうとしている。」
「理由はそれぞれ。夢を追う者、誰かのために生きる者、役目を果たす者……理由は無くても真っ直ぐ生きる者。それぞれだ。」
「……そうだよね!みんながんばって生きようとしている!」
今福線は涙を拭い立ち上がると弥勒を真っ直ぐ見る。
「私、この『橋』の管理人になるっ!」
虚ろな眼から光が生まれる。
「死神になって、『橋』に来た死者達の魂に寄り添い助けて…導いていきたい!」
今福線の言葉に弥勒は安心したように小さく笑い
再び今福線の額に手を当てる。
弥勒の手から光が放つ…
「いいでしょう。では、今から君はこの『橋』221―Bの管理人。『常夜』(とこよ)です。」
今福線…『常世』は漆黒のドレスと黒いベールで包まれた死神になった。