この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
奥様と猛犬(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 奥様と猛犬
サクナと姫の婚約披露が終わって、数日が経ちました。
本来でしたら姫は披露の次の日には都に帰る予定でしたが、ビスカスが姫を庇って怪我をしたので治るまでは見届けたいと言うことになり、滞在を延ばしておりました。
ビスカスが治って家に帰れるまでは都に戻りたくないというのは、心底本気でお願いしたことでした。勿論、嘘では有りません。
が、姫がここで過ごせる時間が増えた事は、姫にとってもサクナにとっても、密かに嬉しい事でした。
ビスカスを気遣いながらも穏やかに睦み合って過ごしていたある日、姫がふとサクナに言いました。
「ねえ、サクナ?」
「ん?何だ?」
体調が今ひとつの姫に付き合いながら、長椅子にくっ付いて腰掛けて姫の髪を弄んでいたサクナに、姫は聞きました。
「犬を飼ってるって、言ってたわよね?」
「ああ。犬っつっても番犬だけどな」
犬、と聞いたスグリ姫は、掛けていたブランケットを握り締めて、目を輝かせました。
「素敵!!私、番犬さんたちに会いに行ってみたいわ!」
「さん付けは変だろ」
「じゃあ、番犬ちゃん?」
「余計変だろ……もうちょっと調子が良くなったらな」
「はーい!!」
張り切った姫の返事を聞いて、サクナは姫の頭をよしよし、と撫でました。
……さて。
「今から犬んとこに行くからな。繋いでおいて貰っちゃ居るが、番犬だからな。猛犬だぞ、気を付ける様に」
「はーい!!」
体調が落ち着き、またまた張り切る姫の頭をよしよしと撫でて手を繋ぐと、サクナは庭の奥の方に歩いて行きました。奥と言っても、果物園側では有りません。不審な者が入らぬ様に、入り口に囲ってある柊と柵の内側を仕切って空間を作ってあって、そこに犬が居るのです。
普段は放しておりますが、今日は姫が見に行くという事で犬は一角に繋いで有りました。
「あそこだ」
「わあ!ほんとね、犬さんだわ!!」
「手ぇ出すなよ。出すとしても上からは絶対触んな」
「分かったわ……あ?!きゃあ!」
「スグ……リっ?」
犬たちは、姫が手を出すまでも無く、嬉しそうに姫に飛びついて尻尾をぶんぶん振っておりました。
今庭には二頭が居ましたが、両方が、です。
(お前、犬まで手懐けるのかよ……!!)
サクナは、そう思ったのですが。
本来でしたら姫は披露の次の日には都に帰る予定でしたが、ビスカスが姫を庇って怪我をしたので治るまでは見届けたいと言うことになり、滞在を延ばしておりました。
ビスカスが治って家に帰れるまでは都に戻りたくないというのは、心底本気でお願いしたことでした。勿論、嘘では有りません。
が、姫がここで過ごせる時間が増えた事は、姫にとってもサクナにとっても、密かに嬉しい事でした。
ビスカスを気遣いながらも穏やかに睦み合って過ごしていたある日、姫がふとサクナに言いました。
「ねえ、サクナ?」
「ん?何だ?」
体調が今ひとつの姫に付き合いながら、長椅子にくっ付いて腰掛けて姫の髪を弄んでいたサクナに、姫は聞きました。
「犬を飼ってるって、言ってたわよね?」
「ああ。犬っつっても番犬だけどな」
犬、と聞いたスグリ姫は、掛けていたブランケットを握り締めて、目を輝かせました。
「素敵!!私、番犬さんたちに会いに行ってみたいわ!」
「さん付けは変だろ」
「じゃあ、番犬ちゃん?」
「余計変だろ……もうちょっと調子が良くなったらな」
「はーい!!」
張り切った姫の返事を聞いて、サクナは姫の頭をよしよし、と撫でました。
……さて。
「今から犬んとこに行くからな。繋いでおいて貰っちゃ居るが、番犬だからな。猛犬だぞ、気を付ける様に」
「はーい!!」
体調が落ち着き、またまた張り切る姫の頭をよしよしと撫でて手を繋ぐと、サクナは庭の奥の方に歩いて行きました。奥と言っても、果物園側では有りません。不審な者が入らぬ様に、入り口に囲ってある柊と柵の内側を仕切って空間を作ってあって、そこに犬が居るのです。
普段は放しておりますが、今日は姫が見に行くという事で犬は一角に繋いで有りました。
「あそこだ」
「わあ!ほんとね、犬さんだわ!!」
「手ぇ出すなよ。出すとしても上からは絶対触んな」
「分かったわ……あ?!きゃあ!」
「スグ……リっ?」
犬たちは、姫が手を出すまでも無く、嬉しそうに姫に飛びついて尻尾をぶんぶん振っておりました。
今庭には二頭が居ましたが、両方が、です。
(お前、犬まで手懐けるのかよ……!!)
サクナは、そう思ったのですが。