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郁美の真実 〜妻を閉じ込めた魂の檻〜
第10章 〜背徳への萌芽〜
叔父
「私は少しがっかりしたよ。ふたりで来たということは、お互い治療のことを話してしまったということだね。」

「秘密を守れないなんて....」

早紀
「ご、ごめんなさい....」

叔父
「郁美もそうなのかい?」

郁美
「あっ、う、うん....ごめんなさい....」

叔父
「わかった....仕方がない。」

郁美と早紀は叔父の言葉に少し驚きながら顔を見合わせた。

とりわけ、早紀はひどく怒鳴られるのではないかと覚悟していたのだが、父の予想外の穏やかな反応に全身が脱力した。

叔父がふたりに穏やかに話しかける。

「それじゃあ治療はとりあえず終わることにしよう...ただ、最後にこれからは治療が必要なくなるよう、ふたりに見せておきたいものがある。私の書斎に今からきてもらえるかな?」

郁美と早紀はうなずいた。

「よかった」

そう思った。

最後に叔父がいう「何か」を見れば、叔父から解放されるのだ。

ふたりの少女は、そう思って疑うことなく、叔父に連れられて駅近くの叔父の書斎兼会議室であるマンションへ向かった。
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