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約束のピンキーリング
第1章 ピ
明らかに不機嫌な顔をされ、それでも見てないふりをして
椅子の背もたれに掛けてあった上着を手渡した。
「ほらほら。中村さんがいなかったら電車も乗り遅れちゃうな!行って来い!」
そう茶化す加賀部長をじっと見つめて、岡本主任はカバンを持って歩きだした。
そのまま不機嫌さを隠さないで予定通りの電車に滑り込む。
「中村さん、悪いな。
こんな若造の秘書で。俺の前は誰に就いてたの?」
「三宅部長です」
「ああ、あの人この前デカイ仕事してたもんな」
「はい」
「あの仕事、一緒にやったの?」
「はい」
「だろ?普通は部長クラスだってなかなか個人秘書なんか就かない。
デカイ仕事の時に就くだけだ」
「今回の岡本主任のプロジェクトも若手中心とはいえ、十分大きいと思いますが」
「でも、若手だから、俺何でもできるよ」
こちらをじっと見つめて、今にも私を秘書課に追い返しそうだ。
この人は3つ上の私を秘書として使う事に納得をしていない。
「マジで秘書なんて俺には早いと思うんだけど?」
「・・・・ご期待に沿えるよう頑張ります」
「・・・で?今日の手土産は?」
「先方の奥様の好きな甘納豆をご用意しました」
「へぇ。用意周到。さすが秘書課。奥さんの好みまでデーターにあるんだ」
俺たちはそんなところで戦ってんじゃないんだけど。
とでも言いたそうなその顔は
言葉の羅列とは裏腹に、明らかにそんなデーターに頼っている私を馬鹿にした言い方で
「恐れ入ります」
私も心ない謙遜で応酬する。
椅子の背もたれに掛けてあった上着を手渡した。
「ほらほら。中村さんがいなかったら電車も乗り遅れちゃうな!行って来い!」
そう茶化す加賀部長をじっと見つめて、岡本主任はカバンを持って歩きだした。
そのまま不機嫌さを隠さないで予定通りの電車に滑り込む。
「中村さん、悪いな。
こんな若造の秘書で。俺の前は誰に就いてたの?」
「三宅部長です」
「ああ、あの人この前デカイ仕事してたもんな」
「はい」
「あの仕事、一緒にやったの?」
「はい」
「だろ?普通は部長クラスだってなかなか個人秘書なんか就かない。
デカイ仕事の時に就くだけだ」
「今回の岡本主任のプロジェクトも若手中心とはいえ、十分大きいと思いますが」
「でも、若手だから、俺何でもできるよ」
こちらをじっと見つめて、今にも私を秘書課に追い返しそうだ。
この人は3つ上の私を秘書として使う事に納得をしていない。
「マジで秘書なんて俺には早いと思うんだけど?」
「・・・・ご期待に沿えるよう頑張ります」
「・・・で?今日の手土産は?」
「先方の奥様の好きな甘納豆をご用意しました」
「へぇ。用意周到。さすが秘書課。奥さんの好みまでデーターにあるんだ」
俺たちはそんなところで戦ってんじゃないんだけど。
とでも言いたそうなその顔は
言葉の羅列とは裏腹に、明らかにそんなデーターに頼っている私を馬鹿にした言い方で
「恐れ入ります」
私も心ない謙遜で応酬する。