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花の輪舞曲
第1章 夜啼鳥の小夜曲
翌朝の朝食の席に、岩倉と笙子の姿はなかった。
遅れて席に着き、不在に気づいた環が眉を寄せる。
「あれ…笙子ちゃんは?」
道子が三つ子達の世話を焼きながら答える。
「なんや笙子さんの体調がようないらしいねん。
今日は離れで休養させるて千紘さんが言うてはったわ」

急いで立ち上がろうとする環に、篤子がやんわりと声をかける。
「環ちゃん。あんた、今日は離れに行ったらあきまへんで」
「なんでだよ?笙子ちゃんのお見舞いに行くだけだ」
「今日は二人だけにしてあげよし。
…邪魔したらあかん」
いつも大らかで、環に指図など決してしない篤子に釘を刺され、不承不承引き下がる。

三つ子の肇がご飯を掻き込みながら尋ねる。
「笙子ちゃん、どないしたん?お腹痛いんか?頭痛いんか?」
「かわいそうやなあ。俺、帰りに学校の桜の木、折ってきて笙子ちゃんに届ける!」
稔が言うと、駿も負けずにのんびりと笑う。
「俺も…池のメダカ捕まえて届ける」
三つ子達はいつも優しく遊んでくれる笙子が大好きなのだ。

道子は茜をあやしながら、三つ子たちに笑いかける。
「あんた達、優しいなあ。でも、気持ちだけで充分やで。
…ほんまにやったら、今日おやつ抜きやで」

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