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花の輪舞曲
第1章 夜啼鳥の小夜曲
二人はどちらからともなく、唇を求め合う。
…心が通じ合っていた安堵感が二人の距離を更に近づけるのだ。
そっと唇を離し…だがすぐに名残惜しげに柔らかなその唇に触れる。
「…本当に私が初恋なのですか?…ほかに心惹かれた男性はいらっしゃらなかったのですか?」
こんなにも美しいひとが今まで誰にも恋しなかった奇跡に感謝しつつもつい聞いてしまう。

「…いいえ…一人も…」
…と言いかけて、笙子はふと遠い目をする。
「…お一人だけ…気にかかった方はおりましたわ。
昨年、偶然お目にかかった方なのです。
隻眼の…とても美しいけれど、鋭い眼差しをされた軍人さんでした。
…以前にお目にかかった気がして話しかけたのですが、お人違いでした。
…でも…確かに…どこかでお会いしたような気がしたのですが…」
笙子の表情が遠くに想いを馳せるような…どこかやるせない色を帯びる。
突然、岩倉の胸に嫉妬めいた苦い感情が広がる。
「…けれどそれは恋では…あっ…!」
言いかけた笙子の可憐な唇を強引に奪う。
「…もうお聞きしません。貴女のこの美しい口から、他の男の話は聞きたくない」
濃厚な口づけに甘やかな息を弾ませながら、男を潤んだ瞳で睨む。
「貴方からお聞きになったのに…ひどい方…」
「…私は貴女に関することはすべて自分勝手になってしまうのです。
恋はひとを愚かにするのですよ」
笙子は小さく微笑う。
透き通るように白く細い腕を男の首筋に絡ませる。
「…では、私もご一緒に愚かになりますわ。…貴方に…溺れさせてください…」
清楚な花のような少女に、仄かな…しかし匂い立つような色香が漂い始める。
「…夢中にさせて…貴方以外は見えないように…」

やや震える笙子の身体から、微かな畏怖が伝わる。
その健気さが愛おしい。
笙子の貌をその両手で包み込むと、じっと瞳を見つめる。
そうして催眠術をかけるかのように、ゆっくりと…静かに声をかけた。

「…笙子さん。私の眼をずっと見ていてください。…眼を閉じないで…私の眼だけを…そう…いい子ですね…」




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