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花の輪舞曲
第1章 夜啼鳥の小夜曲
「…笙子さん…。性の営みは、愛の行為なのです」
「…愛の…行為…?」
「そうです。愛を確かめ合い、お互いをもっと深く知りたい…分け与えたいという純粋な愛の行為なのです。
だから、何も恐れずに私の眼を見て私を信じてください」
岩倉の瞳に自分が映っている。
…まるで、岩倉に自分をまるごと包み込まれているような安堵感を覚える。
岩倉の手が自然な動きで笙子の夜着の帯を解く。
胸の鼓動が痛いほど高鳴るが、怖くはない。
さらさらと心地良い衣摺れの音が聞こえる。
白綸子の夜着の前を解かれる。
岩倉は笙子の貌中にキスの雨を降らせながら、肩から夜着を脱がす。
その輝くような裸体が露わになる。
口づけされながら、優しく乳房を愛撫される。
「…んっ…あ…」
舌先を絡めとられ、柔らかく口内を弄られる。
緩急をつけながら乳房全体の愛撫をされ、まだ未熟な薄桃色の果実を摘まれ、ゆっくりと揉みしだかれる。
「…ああ…ん…っ…」
甘い声が漏れだし、笙子のきめ細やかな白い肌がしっとりと潤み始める。
上気した耳朶を唇で挟み、囁く。
「…綺麗ですよ…笙子さん…私の愛おしいひと…」
愛する男にこの上なく大切にされているという幸福感が、笙子に力を与える。

笙子は自分から、岩倉の夜着の襟元に手を伸ばした。
「…笙子さん?」
岩倉が意外そうに端正な瞳を瞬かせた。
「…私に…脱がさせてください…。千紘さんのお身体が見たいのです…」
優しい微笑みに微笑み返し、男の帯を解く。

鞣し革のように滑らかな…美しい筋肉に包まれた男の上半身が露わになる。
そっと指先で愛おしげに触れてゆく。
「…千紘さんも…とても綺麗です…」
…肩…胸板…引き締まった腹部…そして…。

「ご無理はなさらないで良いのですよ…」
穏やかな声が優しく笙子を宥める。
「…大丈夫です。…私…私…千紘さんのすべてに触れたいのです」
小さいけれど、揺るぎない意志を感じる声だった。
「…笙子さん」

笙子の手が、下着を着けていない男の下腹部に伸びる。
…夏草を思わせる下生え…硬く屹立した牡…。
そっと触れてみる。
…肌と同じ、滑らかな皮膚に包まれた熱い男の牡…。

「…ああ…」
…もう怖くはなかった。
その硬質さ…その熱量…皮膚の下を力強く脈打つ血管…すべてが笙子を需めてくれている愛情と情熱に、胸が一杯になる。
…それは、愛おしい…男の身体だった…。



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