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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第7章 大きさの問題
*
ビスカスは鼻先の冷たさで、ぱちりと目を開けました。
元々寝起きの良い方ですし、上掛けから出ている部分が冬の夜明けの冷気にさらされて冷たくなったので、目が覚めてしまったのです。
昨日は外出から帰ったまま夕食も摂らずにあれこれ致して、そのまま眠ってしまいました。冬なのにろくに部屋を暖める事もしないで眠った事をビスカスは悔やみましたが、幸い腕の中のローゼルはしっかり上掛けに包んで置いたので、どこも冷えては居りません。
ビスカスはほっとして、ローゼルを起こさぬ様に隙間を開けて冷たい空気を入れない様に気を付けながら、寝台から滑り出ました。
震えながら昨日脱いだ服を適当に身に着けて、まずは物音を立てない様に、部屋を暖める算段をしました。それを済ますと、ローゼルが起きた時の為に温かそうな部屋着を見繕い、それを手に抜き足差し足で寝台まで戻っ……
「……っくしょいっ!!」
……て来る途中に、耐え切れずに盛大にくしゃみをしてしまいました。
「……おはよう、ビスカス……」
「あ!起きねーで!!起きちゃ駄目です!」
「どうして……?」
「んな寒いのに起きちゃあ、お体が冷えちまいまさあ!……もしお起きになりてぇんなら、これお召しにならねーと」
慌てながらローゼルに部屋着を手渡そうとすると、冷たい空気の中にすらりとしなやかな腕が伸びて来て手招きされました。
「まだ起きないわ。戻ってきて」
「畏まりやした、戻りやすから、お手々仕舞って下せえ!……んじゃ、こりゃあ近くに置いときやしょうね」
「そのまま寝ちゃ駄目よ?それ全部お脱ぎ」
ビスカスがいい加減な服のまま戻って来ると、ローゼルが冷酷な命令を口にしました。
「へ、なんで」
「その方が、くっついたら気持ちいいもの」
「ぐっ」
冬の早朝の「それ全部お脱ぎ」という命令は、一旦ビスカスの「脳内ローゼル暴虐コレクション」に加わりかけましたが、一瞬で「愛しい妻の可愛いおねだりコレクション」に移動しました。
「仰せの通り、脱ぎやしたよー。まだ早ぇですからもっぺんお休みになるか、せめてお部屋があったまるまでは、こうして居やしょうねー」
「……どうして、こっちに来てくっついてくれないの?」
ビスカスがローゼルから離れた所に潜り込み、隙間に風が入らない様にもぞもぞ調整していると、不満げな声が上がりました。