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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
「お互い様だ、遠慮すんな。しばらくゆっくりしとけ。行くぞ、ビスカス」
「へいっ……また後程、スグリ様、リュっ……ローゼル」
「っ『ローゼル』っ!!」
男二人が立ち上がった瞬間に、スグリも小さく叫んでぴょんと長椅子から立ち上がりました。
「……へ?どうなさったんで、スグリ様」
「そうっ……そうよねっ!!もう『お嬢様』じゃ、ないんだわよねっ!!」
スグリに目をきらきらさせてにこーっと微笑まれ、ビスカスはこれ以上無いくらい真っ赤になりました。
「お。遂に『お嬢様』から変えやがったのか」
「っやー……まだ、やっと慣れて来たところでさあ」
ビスカスは照れに照れ、ローゼルはそれを見て柔らかく微笑みました。慣れて来過ぎて「ローゼル」よりも恥ずかしい極秘の呼び名を呼びかけたことは、幸いローゼルしか気がついておりませんでした。
二人を見ていたスグリは、ほーっと息を吐いてしみじみと呟きました。
「……私、『ご馳走様』の意味が、すごーく良く分かったわ」
「あ?飯食った後のか?」
「ううん。私達も時々言われる『ご馳走様』よ?」
スグリは笑って首を振り、サクナを悪戯っぽく見上げました。
「幸せのお裾分けで、満腹よ!胸も、お腹も、一杯になるわね?しばらく何も要らないわ」
* * *
男二人を見送った後、女達は引き続きなんということも無い様な事を、しばらくお喋りしておりました。
「まあ。都では新年をそんなに盛大に祝うのね!」
「ええ。こちらではそんなにお祝いなさらないの?」
「そうね、それほどでも無いわ。家族でお祝いする位かしら。一年で一番大きい行事は、やっぱり秋の収穫祭ね。あとは、春にも芽吹きを祝って、豊作を祈るお祭が有るわ」
「さすが果物の名産地ね!私達の御披露目で踊って下さった踊りは、元々そういう時に踊るものだったのよね?」
スグリは、自分とサクナの婚約披露の時にビスカスから聞いた「元々は祭の夜に男女が相性を確かめる為に踊った」という話を思い出して聞きました。
「ええ。だから、祭で踊りの上手さを競う大会が行われたりもするんですの。私が初めて優勝した時は、ビスカスと踊ったのよ」
「まぁっ!」
ローゼルはその頃を懐かしんで、夢見る様に穏やかに微笑みました。それを見たスグリは、何故か突然、長椅子の上でうずくまりました。