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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第1章 初夜の問題
「あ!!」
「はい?なんですかい、お嬢様」
「洗濯屋っ……」
「へ?」
「洗濯屋の……子種の付いたドレスっ……!」
「あー」
ビスカスがそんな事も有ったなーと呑気に思いながら汚したあちこちを拭いて居る間に、ローゼルはさあっと顔を曇らせました。
「……ビスカス……?」
「へい?まだどっかベタベタしやすか?」
「ううん。……あの……やっぱり、お前、誰かお相手が居るのじゃなくて?」
「へっ?」
「だって……今も、色々、手慣れて居るしっ……」
「ちげーやす!ちげーやすって!!」
「嘘よ……だって、洗濯屋が、子種を落とす値段と血を落とす値段は違うって、わざわざ親切に教えてくれたわよ……!」
ビスカスは、ローゼルは本当に洗濯屋に聞きに行ったのか、と驚きました。
自分が女を抱いた時に子種で汚したドレスを洗濯屋に出したというのは、ローゼルに釣り合わない自分を諦めさせる為に吐いた、たわいもない嘘でした。まさか領主家のお嬢様であるローゼルが、本当に町場の洗濯屋などに出掛けて行くとは思わなかったのです。
今日何回も泣いて涙が出やすくなっているローゼルはまたもやうっすら涙を浮かべ、ビスカスはそれを見て胸が詰まる様な思いがしました。
「いや、ちげーんです!ちげーんですよ、お嬢様!!あああ、泣かねーで下せぇよ……!!」
ビスカスは焦りまくって、おろおろと俯いたローゼルの髪を撫でては口づけました。ローゼルは俯いたまま、鼻をぐすぐす言わせ始めました。
「……ほんっとに、ちげーんですって……!ありゃあ、俺んじゃねーんです、頼まれ物なんでさあ!」
「……頼まれ物?」
まだ疑わしげなローゼルを見て、ビスカスは以前交わした約束を、あっさり裏切る事にしました。
「……ぜっっってえ、秘密ですよ……」
「え?……ええ」
「……ありゃあ、サクナ様に、頼まれたんでさ……」
「え」
まだ半信半疑だったローゼルは、その名を聞いて涙ぐんだ目を丸くしました。
「じゃあ……じゃあもしかして、そのドレスは……その……スグリ様、の……」
「へい、勿論」
ちなみにそれは茶会に着て来なすってたドレスです、という事は、ビスカスは賢明にも口にすることは控えました。