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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第1章 初夜の問題
「……あのお二人は……仲良しにも、程が有るわね……」
最初の驚きが落ち着くと、ローゼルは呆れた様にふうっと息を吐きました。
「そーですねー……あ。でも」
「なあに?」
「……お嬢様のドレスも、汚れちまいやした」
「あ」
ローゼルが自分の下を見ると、先程脱いだ青いドレスがくしゃっとなって、二人分の色々な物で濡れて湿っておりました。
「本当ね……またブライトの所に、お願いしに行かなくちゃ……」
「お嬢様が行ったりしちゃあ、前のもみんな俺達のだって有らぬ誤解を受けちまいまさぁね……」
「良いじゃない。誤解じゃ無いわ、私達も仲良しなんですもの」
「そりゃ道理だ。いちゃいちゃベタベタしてるって、言われてますからねー?」
ビスカスのおふざけに、二人は顔を見合わせて、くすりと笑いました。
「ねぇ?」
「何です?お嬢様」
「明日、荷造り解いて頂戴ね?」
「……あ。あー……どうしやしょうかねー……」
「えっ……?」
また不安げに瞳を揺らすローゼルを、ビスカスは笑って抱き締めました。
「もう出て行ったりゃあしやせんって。……荷物ぁそのままにしとく方が、夫婦の寝室に越しやすいんじゃねぇかなーって思ったんでさ」
「夫婦……そうねっ……」
ローゼルは頬を染めて、愛しい婚約者の胸にちゅっと口づけました。
「……ビスカス?」
「何ですかい、お嬢様」
「目が冴えて眠れないわ。寝かし付けして……」
「……畏まりました。」
「……んっ……ぁん……ビスカス、好きっ……大好き」
「お嬢様……俺も、大好きです……」
抱き締め合って体を触れさせ弄り合い、口づけを落とし合っていたビスカスの耳が、微かな音をひろいました。
「……今、なんか音がしやせんでしたか?」
「音?…………あ。雨の音がしてるわね」
「へ?……あー、ほんとだ。雨になりやしたんですねー」
朝焼けで始まった長い一日は、諺の通り雨で〆められる事になりました。
「ビスカス?」
「何ですか?お嬢様」
「今日お前が出て行かなくて、本当に良かったわ。冬の雨だもの……今頃、凍えてるわよ」
「……そうですね。……ここぁ、すっげぇあったけえです……」
そして二人は微笑み合って体をぴったり寄せ合って、お互いを寝かし付ける為のあれこれを、交わし始めたのでありました。