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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
「……箱入り過ぎて、恥ずかしいのですけど……私、ビスカスと結ばれるまで、ずっと生娘だったんですの」
「ええ、ええ。分かりますわ。恥ずかしくなんか、有りませんことよ」
それはいかにも穢れ無き深窓の令嬢であるローゼルらしい事だったので、スグリは深く頷きました。
「殿方とお見合いした事は有りましたけど、お会いしてお話する以上の事は、何一つ、したことが無くて……」
「ええ」
「それも、従兄弟とのお見合いが上手く行かなかった原因の一つなの」
「でも、ビスカスさんとは、そのう……もう、お床入りなさったのでしょう?」
「ええ。無理しないでゆっくり、って……とても細かく思いやってくれて、心配してくれて、優しくしてくれて……とっても幸せで、ビスカスの事がますます好きになりましたわ」
「ローゼル様の事、本当に大事になさってるものねえ、ビスカスさん」
「そうなの……それはとっても嬉しいし、心地良くて幸せなのだけど……時々、ビスカスに悪い事をしている様な気がしてしまうの」
「悪い事?」
「ええ。いつも、私を大事にして、私の事を最優先にして、気遣ってくれるのだけど……もしかしたらビスカスのしたい事やして私に欲しい事を、我慢させてるんじゃないかと思う事が有るの。それが、悪くって……」
「分かりますわ、ローゼル様っ!」
スグリは首がもげそうな程頷いて、ローゼルの手をがしっ!と握り締めました。
「私もサクナに、甘やかされ過ぎじゃないかって思う程、甘やかされているの」
「そうですわよね……」
ローゼルは、以前茶会の知らせに来た時にサクナの執務室の扉を開けて偶然見てしまった、蕩けそうな二人の触れ合いの光景を思い出しました。
「だから、たまには、サクナがして欲しいって思ってる事をしてあげたいなーって、よく思うんですのよ」
「同じですわ、スグリ様!ビスカスも、私の事ばかり気遣って、痛くないかとか大丈夫かとか気持ち良いかとか、気にしてばかりで」
「それっ!本当に、それが困り物ですわよね!!」
「でも……大事にされすぎて悪いだなんて、本人には、言えなくて……」
「そのお悩み、とーーっても良く分かりますわ、ローゼル様!……ちょっと、お待ちになってて下さる?」
「え?……ええ、分かりましたわ」
スグリはすっくと立ち上がり、つかつかと扉に向かって歩いて行くと、一旦部屋を出て行きました。