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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
ローゼルが相談でからからになった喉を冷めかけたお茶で潤していると、スグリが何やら手に抱えて戻って参りました。
「お待たせしてごめんなさい。本当は、結婚のお祝いとして差し上げたい他の物が有って、それもご相談の件には、お役に立つと思うのだけど……」
スグリはローゼルの横に腰掛けて、眉を寄せて軽く膨れました。
「サクナったら意地悪して、私にくれた手紙に『二人が仲直りした』としか、書いてくれなかったの。だから、お祝いに差し上げたい品は、今義妹に頼んで都から送って貰う手配をしてるのだけど……『結婚した』って書いてくれてたら、今お渡し出来たのにっ」
「スグリ様……本当に、ありがとうございます……」
ローゼルはスグリの祝福に、胸が熱くなりました。
「いいえ。かえって申し訳無いわ。そちらは、間に合わないのですもの……だから、まずはこれを」
スグリは持っていた布包みを開けて、一本の瓶をローゼルの前に置きました。
「これは……お酒?」
「ええ。開けて有るのしか持ってなくて申し訳ないのだけど、良かったらお持ちになって」
スグリは至極真面目な顔になると、物々しく宣いました。
「……これは、催淫酒ですの。」
「え?さいいんしゅ?」
「ええ。つまり、エ……淫らな気分を催すお酒……ですわ」
「えっ」
「媚酒とも言うのですって。今お飲み頂く訳にはいかないけど、香りだけでも」
スグリは蓋を開けて、瓶の口をローゼルの顔の前に翳しました。
「まあ!果物茶みたいですわね?美味しそうな、良い匂い……淫らな気持ちになるお酒なのだから、もっとお薬みたいな香りか、甘ったるいお花みたいな香りかと思いましたわ………あら?」
ローゼルの頭を、何かこれと似た様なものがふっと過りましたが、その事はスグリの言葉で忘れ去りました。
「でしょう?味も、甘くて美味しいんですのよ。お茶に入れたり、果物にかけたりもするんですって」
「それは美味しそうね……だけど、そういうお酒なんですのよね?……その、淫らなっ……」
「……ええ。だから、殿方にお召し頂いてから致すと、無理してなさってる我慢が、吹っ飛びますの」
「吹っ飛ぶっ!?」
ローゼルは「我慢が吹っ飛ぶ」というスグリの言葉に、驚愕しました。
それはどんな状態なのか、まだまだ男女の営みの初心者であるローゼルには、皆目見当も付きません。