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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
「……スグリ様。」
「はい?」
ローゼルは真剣な顔で、スグリの両手を握りました。
「今日からスグリ様を、先生と呼ばせて頂けないかしら。」
「ふぇっ!?先生っ?!」
「私、ビスカスと結婚して以来ーーいいえ、ビスカスに求婚した時からずっと、スグリ様を結婚の先輩として、こっそりお手本にさせて頂いておりましたの」
「せんぱいっ??……お手本っ!?」
ローゼルの脳裏には、「その程度じゃない口づけ」や「洗濯屋にこっそり洗濯を頼んだドレス」の件が、思い出されておりました。
スグリの方では、落ち着きと気品に満ちた人々の羨望の的の美女たるローゼルに「先生」だの「先輩」だの「お手本」だのと言われ、驚きで頭も体も含め、全ての動きが止まりました。
「今日も、ご相談させて頂いて、私は今日の今日まで物知らずにも程が有るくらい酷い物知らずだったと、思い知りましたわ……!」
ローゼルは嘆きましたが、恐らく色事以外については、スグリの方が物知らずでしょう。
しかも、色事についての知識も、スグリの場合は少々……ではなく、多少……でもなく、かなり、偏っております。しかし、初心なローゼルには、そんな事は当然全く分かりませんでした。
「これからもぜひ色々教えて頂きたいわ、スグリ先生!」
「お……お待ちになって、ローゼル様っ……」
「『様』は必要有りませんわ、だって私は生徒なんですもの。今日からは、遠慮無く『ローゼル』とお呼びになって」
「っそんなっ!呼び捨てなんて恐れ多すぎるわっ……!」
「では、せめて『ロゼ』と呼んで下さいな、先生」
「ロゼっ……ってお呼びするのは仲良くなったしるしみたいで嬉しいけど、先生って呼ばれるのは、恥ずかし過ぎますわっ……」
「じゃあ、スグリ師匠」
「無理っ……!」
「スグリ先輩?」
「自分が呼ばれてる気がしませんわっ……!」
握った手からへなへなと滑り落ち長椅子に突っ伏して悶えるスグリを見て、ローゼルは指を唇に当てて眉を寄せ、しばらくじっと考えました。