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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
「……『お姉様』」
「へ?」
「『お姉様』ってお呼びするのは、どうかしら?」
「……お姉様?」
「ええ。私の方が年下だから、スグリ様は本当にお姉様でしょう?だから、『スグリお姉様』でもおかしくないと思いますの」
「お姉様……そうね、それなら」
それならば、都に居る義妹であるレンブ姫にも呼ばれております。呼ばれる相手が絶世の美女というのはちょっぴり落ち着きませんが、先生や師匠や先輩と比べると、気恥ずかしさが格段に違いました。
スグリはやっと落ち着きを取り戻し、長椅子に座り直しました。そして酒の瓶を元通りに包み直してローゼルに手渡すと、心からにっこりと微笑みました。
「もっと仲良くなれて、嬉しいわ!これからも何でも相談してね、ロゼ!」
「ありがとう、スグリお姉様……!」
二人は微笑み合って見詰め合い、瓶を挟んで抱き合わんばかりになりました。
「……何やってんだ、お前ら」
「ひゃんっ!?」
相も変わらず扉を叩くこともせずに部屋の扉を開けたサクナに突然声を掛けられて、スグリの背をぞくっとしたものが走りました。
「……あ……お帰りなさいっ!」
スグリは、わたわたと挙動不審気味に男二人を迎えました。スグリからはサクナに遮られ、ビスカスの表情は見えません。その分という訳では無いでしょうが、サクナはスグリをじーっと穴が開くほど見詰めました。
その隙にローゼルは何食わぬ顔で、受け取った瓶を服の下に隠しました。冬の厚着とすらりとした肉付きのおかげで、瓶は男達に気付かれぬ間に誰の目からも消えました。
瓶がローゼルに渡っていたのは幸いでした。まだスグリの手に有ったなら、胸が邪魔して隠せなかったでしょうし、それ以前に何食わぬ顔など出来なかった事でしょう。
「何やってたんだ?」
「……ぅ」
「女同士のお喋りですわよね?スグリお姉様」
「あ?」
「おねえさまっ!?」
詰問に固まったスグリの肩を抱く様にしてローゼルが答えると、男達は驚きました。
「何でお前がスグリをお姉様って呼んでんだよ」
「なんでそんなにくっ付き合ってんですかっ」
「だって私達、とっても仲良しになったのだもの。ねえ、お姉様」
「ええ、ロゼ」
「あぁ?」
「ろぜっ?!」
女達の答えを聞いてサクナの機嫌は更に悪くなり、ビスカスは二人がお互いを親密に呼び合って居る事に、更に衝撃を受けました。