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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第8章 我慢の問題
「バンシルが居ねぇと思ったら、お前かよ……」
「お嬢様っ!?その距離感ぁちっとおかしくねーですかっ!?」
「お嬢様じゃ無いし、おかしくも無いわよ?」

 くっ付いたのは瓶を隠す必要が有った為なので、もう離れても構いません。けれどローゼルはビスカスに訳もなく反発して、スグリにもっと抱き付きました。

「だって私達、特別な仲良しなんだもの」
「とくべつななかよしっ!」

 ほとんど抱き締め合っている二人に、ビスカスは卒倒寸前になりました。

 ビスカスの趣味は、下ネタです。その無駄に蓄えられた知識の中には男女の営みだけでなく、男同士とか女同士とか言う知識まで有りました。男同士云々は、昔修行に出た際に実際目にしたり言い寄られたり断ったりもしましたが、女同士に関しては、さっぱり実感が有りませんでしたーー今日までは。

(お嬢様ぁおっきいおっぱいにやたらこだわりなすってた……スグリ様……スグリ様と言ゃあおっきいおっぱい……)

 ローゼルが今むぎゅっと抱き付いているスグリの胸は、ビスカスが窒息しかけた程に豊かな、充分「おっきいおっぱい」です。
 衝撃のあまり動けないビスカスの前を、不穏な影が横切りました。

「離れろ」
「んきゃ」

 スグリは長椅子の後ろに回った不穏な影に有無を言わさず引きはがされ摘まみ上げられ吊り上げられて、横抱きされました。

「……私、猫じゃない……」
「ああ、猫よりゃ大分うっかりだな」

 スグリは膨れながらも、サクナの腕の中に大人しく収まりました。

「ビスカス、ローゼル」
「へい?」
「用は済んだな?もう帰れ」
「ええぇっ!?」
「へ?!」

 サクナに突然告げられて、スグリとビスカスは驚きました……が。

「そうね。そろそろ失礼致しますわ」
「へっ?!」

 ローゼルは頷いて、慎重に立ち上がりました。

「お姉様、ご機嫌よう。ご迷惑でなければ、また遊びに伺わせてね」

 スグリは、ローゼルが早く帰らねばならない事情を懐に抱えて居た事を思い出しました。

「……ええ。いつでもいらして、ロゼ」
「よし。じゃあまたな」
「んな急な」

 三人は、さっさと別れを告げました。付いて行けないのはビスカスばかりです。

「帰るわよ」
「ちょ、お待ちを……お二方、失礼致しやす!」
「またいらしてね!」

 ビスカスは土産物を抱え、あたふたと去って行きました。
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