この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
*
「やっぱ、勝てねーですねー……」
ビスカスは、寝転がって空を見ました。
久々に力の有る相手と存分にやり合ったのです。すっきりした気分で居ると、上に巨大な影が差しました。
「お偉くなったもんねえ」
「ぐえっ」
腹を踏まれてぐりぐり抉られ、ビスカスは呻きました。
「専業じゃないアンタが万が一にでも勝てるだなんて、思ってたの?」
「うぐっ……滅相も有りやせん……思ってやせん……」
ビスカスは、結婚の報告をする事を口実に、修行先に来た筈でした。
ところが敷地に入った途端に、現在ここの師範を務める兄弟子が嬉々として襲って来たのです。応戦しましたが、結果はご覧の通りでした。
「ふざけてんじゃないわよ。アンタ如きに負けたりしたら、廃業考えなきゃいけないっつーの」
「止めて下せー……本気じゃなくても、踏まれるだけでいてーです……」
「あら、愛が強すぎた?ごめんなさいねー、アンタと違って、ガタイが良いもんでー」
「……心は乙女ですけどねー」
「人の台詞取るんじゃないよ」
「ぐぇっ!痛っ!」
兄弟子は一瞬本気でビスカスを踏むと離れて、水場の方に歩き去って行きました。
「当たり前でしょ?せっかく痛め付けてんのに、痛くなかったら意味無いわ」
「……痛めつけられに来たんじゃねんですけど、っ」
無事に踏まれ終えたビスカスは、仰向けから反動を付けてぴょんと立ち上がり、服の汚れを手で叩きました。
「で?アンタ、お仕えしてるお嬢様とは、どうにかなったの?」
「なんで、挨拶より先にんな事聞くんですかい……」
しかもそれを聞く前に、一戦交えもしております。
「はあ?挨拶ならしたじゃないの。私達の挨拶っつったら、手合わせでしょ!忘れたの?お嬢様との爛れた生温い生活送ってると、ずぶずぶになるのかしらねー」
「爛れてやせんっ……ずぶずぶなんかじゃ、有りやせんっ……!」
「聞くに決まってるでしょ?だってアンタあの頃から散っ々、『お嬢様が』『お嬢様は』『お嬢様を』って、毎日毎日毎日毎日ウワゴトみたいに言ってたじゃないの。こっちはそんなん全然聞いてねーっつーのに」
「……でしたかねー……」
「何か有ったの?お嬢様と」
兄弟子は、水を飲みながら聞きました。