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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
*
「ばっかじゃないの?」
「へ?」
話のあらましを聞いた兄弟子は、呆れた声を上げました。
「ヤッてる最中に訳分かんなくなってガツガツ喰い散らかして吸い痕付けまくった上ひっくり返してあんあん泣かせて噛み痕付けた、だあ?!」
「しーっ!!しーっ、声が大きいっ!」
「クソ馬鹿馬鹿しい!そんなん単なる愛の戯れじゃない!アンタほんとに何しに来たの。惚気か?!自慢か!?嫌がらせか!!一昨日来やがれ!」
「でも……傷一つだって付けねぇ様にお守りするって誓ったお嬢様に、俺って奴ぁ……」
「夫婦でしょ?ヤリたくてヤッたんでしょ?何処が悪いの?アンタの頭?」
ビスカスは、氷の様に冷たい水でざぶざぶ顔を洗いました。
「頭がぼーっとして、ぐわーっとなんか盛り上がって……知らねーうちに吸ったり齧ったりぶちまけたりなすり付けたりしちまったみてぇで、目が覚めた時にゃあお嬢様ぁ酷ぇ有り様にっ……」
「それ、抑え付けてた性癖が出ただけじゃないの?」
「うっ!」
兄弟子はビスカスの頭から水を掛けました。
「頭冷えた?元々アンタそういう奴よね?小狡い猿よね?だから食べ頃になってくお嬢様に手を出しそうな自分が怖くなって、ここに修行に来たのよね??」
「う……」
「アンタは、それも含めてアンタでしょ?アンタを猿って呼ぶのは、ここじゃ立派な尊称よ。分かってる?」
「……へえ」
「アンタがお嬢様の護衛で居られるのは、アンタがお嬢様に見せたくないと思ってる、その獣性が有るからよ。そうじゃなきゃ、こんなデカい男しか居ない所にのこのこ入って来た時点で、アンタなんかとっくに半殺しか全殺しよ」
「へい……」
ビスカスは溜め息を吐きました。
「鈍ってんじゃないの、最近。もう一人のご主人様に、もっとこき使って貰ったら?」
「なんで知ってんですかっ?!」
「なんで知らないと思ったの?ここはそんな事の為に有る所で、私はここの頭よ。知らない方が『なんで』じゃない」
兄弟子は、見ようによっては妖艶に見えないことも無い微笑みを浮かべました。
「あんたが小狡い猿だってのは、あんたの価値よ。それに幻滅する様なお嬢様なら、結婚なんか到底無理よ。仕えるのだって無理ね。さっさと首になってウチに戻って来たら?」
「……されてやせん……」
「はああ?」
兄弟子は顎が外れそうな大口を開け、聞き返しました。