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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
「そんなに謝らなくたって、良いことよ?」
涙を誤魔化しながらどうにかこうにか返事をしたビスカスに、ローゼルはきっぱり言いました。
「や……そりゃ……そういう訳にゃあ参りやせん……」
「ねえ。こっち来て」
ローゼルは溜め息を吐くと、ビスカスを手招きしました。ビスカスが背中側でなく真向かいに近付くと、ローゼルはビスカスを引っ張り寄せてぎゅうっと胸に抱き締めました。
「謝らないでったら。……私、昨日みたいなビスカスも好きよ?」
「……んなお慈悲深ぇ事、言わねーで下せぇよ……」
その言葉を聞いたビスカスは、堪えきれずに涙でローゼルの胸元を濡らしました。目の前には、自分がローゼルを傷付けてしまった証拠が有るのです。冬だから良かった様な物ですが、襟開きの大きい服を着る季節なら、着るものにだって困った筈です。
(訳分かんなくなったからって、こんな事して……俺ぁお嬢様に情けを掛けて頂ける様な奴じゃねーんでさあ……)
「……それに」
涙はともかく、鼻水をローゼルの高貴な肌に触れさせる訳には行きません。これ以上罪を重ねない様に鼻をぐずぐずすすり上げ続けるビスカスの耳に、ローゼルの困った様な声が聞こえて来ました。
「あれ、私のせいでもあるの」
「へ?」
「お前、いくら言っても遠慮するでしょう?呼び方もすぐ『お嬢様』に戻るし」
「そいつぁ」
「いつも、私の事ばっかり気にして聞いてくれるじゃない?いつもいつも、私だけ溶けそうに気持ち良くて……」
「や、そりゃあ」
ローゼルが気持ち良い時は、ビスカスも気持ち良いのです。自分が気持ち良くなる為にローゼルをどろどろにしていると言っても過言では有りません。
「してもらってばかりで、お前にだけ我慢させてやしないかと思うと、お前に悪くて、」
どう言ったらそれが伝わるのか迷っているうちに、ローゼルの話は進んでいました。
「だから……我慢出来なくなるお酒を、譲って貰ったの。」
「……は?」
進んだ話が思わぬ所に行き着いて、ビスカスは目が点になりました。