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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
*
「……ビスカス?」
「え?」
扉が不意に開かれて名を呼ばれ、ビスカスは振り向きました。
「やっぱり、ビスカス!!」
「あ……!」
そこに居たのは、ビスカスよりもローゼルよりも背の高い、女丈夫といった印象の女性でした。
それだけでなく。
「お嬢さん?そんななりでこいつにどんなご用ですか?」
女性の辺りを威圧する様な生気に溢れる美しさに弟弟子は毒気を抜かれ、外から帰ったままに見える服に血飛沫が飛んでいるのを見た兄弟子は殺気を放ちました。
「あら、失礼。狩りの帰りなものだから」
「狩り?」
「あなた方のお住まいの方では、あまりなさらないかしら?この辺りは冬が長いから、狩りは果樹や畑を作るのと同じ様な暮らしの一部よ」
「……成る程。ご無礼致しました」
話をそこまで聞いた兄弟子は、纏った警戒を解きました。
「いいえ、気にしないで。……血を浴びたら、狩りはそこでお仕舞いなの。けど、お陰で早く帰って来たから、ビスカスに会えたわ」
「あのう……」
兄弟子と女性のやり取りを唖然として眺めていたビスカスは、おずおずと口を開きました。
「どうして、俺をご存知で……」
「忘れちゃった?そうよね、憶えてる訳ないわよねえ!」
女性は、くすりと笑いました。
「マリアよ。ロゼの従姉妹の」
「……へ?」
ビスカスは鳩が豆鉄砲を食らった様な顔になりました。
「麗氷の鈴蘭の上の娘よ。小さい頃、一緒に遊んだでしょ?」
(……ねえさま!!リュリュも、みずうみにいきたい!!)
(リュリュはまだ小さいから、お留守番しててね?)
(やだ!!ビスカス、マリアねえさまにリュリュはもうおっきいっておしえてあげて!!)
「……あーーーっ!!」
「思い出せた?」
「マリア姉様っ!!や、マリア様!お久しぶりで御座います!!」
「十年以上ぶりかしら?ロゼは元気?……あ」
マリアは旧交を温めかけましたが、自分の格好を見て苦笑して、兄弟子に話し掛けました。
「この格好でお話しするのも気が引けるわね。ビスカスをお借りしても、宜しくて?」
「構いませんよ」
「や」
自分をよそに進む話に、口を挟もうとしましたが。
「マリア様、こいつを宜しくお願い致します。ビスカス、折角の機会だ。ゆっくり話して来ると良い」
兄弟子はそう言うと、にっこり意味ありげに微笑みました。
「……ビスカス?」
「え?」
扉が不意に開かれて名を呼ばれ、ビスカスは振り向きました。
「やっぱり、ビスカス!!」
「あ……!」
そこに居たのは、ビスカスよりもローゼルよりも背の高い、女丈夫といった印象の女性でした。
それだけでなく。
「お嬢さん?そんななりでこいつにどんなご用ですか?」
女性の辺りを威圧する様な生気に溢れる美しさに弟弟子は毒気を抜かれ、外から帰ったままに見える服に血飛沫が飛んでいるのを見た兄弟子は殺気を放ちました。
「あら、失礼。狩りの帰りなものだから」
「狩り?」
「あなた方のお住まいの方では、あまりなさらないかしら?この辺りは冬が長いから、狩りは果樹や畑を作るのと同じ様な暮らしの一部よ」
「……成る程。ご無礼致しました」
話をそこまで聞いた兄弟子は、纏った警戒を解きました。
「いいえ、気にしないで。……血を浴びたら、狩りはそこでお仕舞いなの。けど、お陰で早く帰って来たから、ビスカスに会えたわ」
「あのう……」
兄弟子と女性のやり取りを唖然として眺めていたビスカスは、おずおずと口を開きました。
「どうして、俺をご存知で……」
「忘れちゃった?そうよね、憶えてる訳ないわよねえ!」
女性は、くすりと笑いました。
「マリアよ。ロゼの従姉妹の」
「……へ?」
ビスカスは鳩が豆鉄砲を食らった様な顔になりました。
「麗氷の鈴蘭の上の娘よ。小さい頃、一緒に遊んだでしょ?」
(……ねえさま!!リュリュも、みずうみにいきたい!!)
(リュリュはまだ小さいから、お留守番しててね?)
(やだ!!ビスカス、マリアねえさまにリュリュはもうおっきいっておしえてあげて!!)
「……あーーーっ!!」
「思い出せた?」
「マリア姉様っ!!や、マリア様!お久しぶりで御座います!!」
「十年以上ぶりかしら?ロゼは元気?……あ」
マリアは旧交を温めかけましたが、自分の格好を見て苦笑して、兄弟子に話し掛けました。
「この格好でお話しするのも気が引けるわね。ビスカスをお借りしても、宜しくて?」
「構いませんよ」
「や」
自分をよそに進む話に、口を挟もうとしましたが。
「マリア様、こいつを宜しくお願い致します。ビスカス、折角の機会だ。ゆっくり話して来ると良い」
兄弟子はそう言うと、にっこり意味ありげに微笑みました。