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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
*
「……で?何しに来たの?」
「う」
「一人だよね?」
「ぐ」
マリアの登場で多少緊張がほぐれたビスカスでしたが、リアンに問われて、また固まっておりました。
リアンの家とは知らずに連れて来られて、自分の意志が固まらないうちに、引き合わされたのです。
おまけに、ローゼルの夫としては他の男より自分の方がまだマシだろうという儚い根拠も、今となっては揺らいでおります。
何をどう言って良いものやら全く分からないビスカスは、蛇に睨まれた蛙の様です。
「……リアン?」
そんな二人の様子を見て、マリアが助け船を出しました。
「なあに?マリア」
「ビスカスは、一人じゃないわよ?お連れ様がお二人いらしたわ。……そうよね?」
「へいっ」
マリアとビスカスの会話に、リアンは不服そうに唇を尖らせました。
「僕が言ってるのは、そういう意味じゃないんだけど」
「あら?そんなにロゼに会いたかった?」
マリアはリアンをからかって、くすくす笑いました。
「……そういう訳じゃ……」
「誤魔化さなくて良いのよ?リアンはよちよち歩きの頃から、ロゼが大好きだったものね?」
「ああ、大好きだったよ?大好き『だった』!」
リアンはぶすっとして、頬を膨らませました。
「でも、今はもっと大好きな人が、ちゃんと別に居るんだからね!」
「……えーと……あの……?」
ビスカスは、いつの間にかなんとなく話が逸れていっている事に、困惑しました。
「あら!話が途中だったわね、ごめんなさい。……リアン。ビスカスは私達が一番悩んで居た事を、お友達お二人と一緒に解決して下さったのよ」
「え?」
リアンはぎゅっと眉を顰めて、疑わしげにビスカスを見ました。
「ビスカスは、麗氷の百合の御印を、取り戻してくれたのですって」
「なんだって?!」
リアンは驚いた顔でビスカスを見て、それからマリアの方を見ました。
「それ、本物?本当に、こいつが?」
「リアン!」
マリアはビスカスへの失礼な物言いをたしなめる様に、リアンの事を一睨みしました。
「……今は、お母様が持ってるって事だよね?」
リアンは一瞬怯みましたが、マリアを一旦睨み返して、それからビスカスを睨みました。
「自分で、確かめて来る。話をするのは、それからだ」