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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
「リアンとロゼが一緒になるのは、無理よ。我が儘放題甘え放題の、末っ子同士なんだもの。上手く行きっこ無いって、皆どうして分からないのかしらって、不思議だったわ」
「……そりゃ……」
ビスカスは、相槌を打ち掛けて、やめました。
何を言っても、誰かに対して、失礼な事になりそうだったからです。
「あちらから帰されて泣きついて来たリアンに、何が有ったか大体聞いたわ」
マリアはふうっと息を吐き、お茶を一口飲みました。
「ビスカス?」
「へえ」
「貴方、ロゼに傷を付ける様な夫は認めない、って言ったんですって?」
「……へいっ……」
「……ロゼは、幸せな子ね」
緊張し切ったビスカスの絞り出す様な返事に、マリアは薄く微笑みました。
「あの子は、箱入り娘だもの。その位言ってくれるお相手でなくては、安心して身を任せたり出来ないわよね」
「身を任すっ……てっ……」
ビスカスの全身から、再び汗が噴き出しました。
「でも。貴方がロゼと正式な夫婦になる前に、『マリア姉様』から、一つ忠告よ」
「え」
「貴方がロゼを傷付ける事を、自分に許してお上げなさい」
「えっ?」
マリアの告げた思わぬ言葉に、ビスカスは面食らいました。
「どんなに心を砕いても、夫は、妻をーー男は女を、少なからず傷付けずには居られないものなのよ。諦めて、下らない事にこだわり続けるのは、止める事ね」
「や、そんな」
反射的に異を唱えかけたビスカスに、マリアはショールをぐっとずらして内出血を見せました。
「こんな程度の事を言っているのじゃ無いわよ?破瓜の痛みや傷だって、それほど大した問題じゃない」
「えっ」
マリアの言っている事が、ビスカスには理解出来ませんでした。
今まさにビスカスは、閨で愛を交わした時にローゼルに与えてしまった痛みについて、酷く悩んでおりました。けれど、それだけならば、兄弟子が言った「愛の戯れ」として、止むを得ないと納得する事も出来なくは有りません。
しかし、マリアはそんな事は些細な問題だと、ビスカスに言いました。それ以外の時にもローゼルを傷付ける可能性が、ビスカスには有ると言うことなのでしょうか。
「俺ぁ……俺にゃあ……お嬢様を傷付けたい気持ちが、どっかに有る様に、見えますか……?」
呆然と呟くビスカスを見たマリアは、困った様な笑みを浮かべて口を開きました。