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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題
「なあに?」
「そのう……ちっと、お尋ねしたい事が有りやして」
「何かしら?私に答えられる事なら、なんでも遠慮無くどうぞ」
「ありがとうごぜぇやす……えっと……女の気持ちについて、なんですけども」
「ええ」
「……そういう痕を、付けられるとか…………匂い?やなんか?を付けられるとか……嫌じゃあねーもんなんですかい……?」
ビスカスは、先程襟元の内出血を見られた時のマリアの様子が、全く悪びれて居なかったことが気になっておりました。
女は見た目に気を使うものと思っていたのですが、肌に点々と付いている痕は、気にならないのでしょうか。単にビスカスが大騒ぎして、気にし過ぎているのでしょうか。
『謝らないで……私、そういうビスカスも好きよ?』
(リュリュぁ、ああ言ってくれちゃあ居たが……ありゃあ酒の事で、気ぃ使ってたのかもしれねーからな……)
「まあっ!」
ビスカスがあの朝をぼーっと思い出して居ると、マリアが手を打って破顔しました。
「貴方、ロゼとちゃんと仲良く出来てるのねえ!」
「えっ」
打った両手を顔の前で組み合わせ、マリアは瞳をきらきらさせました。
「そうよね?そうでしょう?良かった!」
「っや!違ぇんです、そういうアレじゃ!!」
「良いのよ、照れなくても。夫婦なんですもの、痕を付けようが匂いを付けようが、恥ずかしい事なんか無くってよ?……ほっとしたわ。箱入り娘だからって、心配すること無かったわね」
「やっ違ぇんです!これは、物の例えでっ!」
ビスカスは慌てる余り、涙目になり始めておりました。ローゼルの知らない男相手の雑談ならともかく、身内の女性に二人の秘め事を知られてしまうなど、ローゼルに申し訳なさすぎます。
マリアはそんなビスカスを面白そうに見て、唇の前に人差し指を立て秘密めかして言いました。
「ビスカス?人だって、元は獣よ。獣がどういう時に噛んだり、匂いを付けたりするか、知っていて?」
「えっ?!」
まさに、そう問い掛けられた時。
「……ただいま。」
扉が軽く叩かれて開かれ、ぶんむくれたリアンが戻って来ました。
「お帰りなさい、リアン」
マリアは艶やかに微笑んで従兄弟を迎え、ビスカスの方を見ずに呟きました。
「……帰ったら、二人でゆっくり考えなさいな。これは、貴方とロゼへの宿題よ」