この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第9章 甘え方の問題

「……俺の居ねぇ間に、何かっ……」

 ビスカスは、血の気が引きました。
 柊屋敷と聞いて、自分が怪我をした時の事を思い出したのです。あの時は、実際に刃物を向けられたスグリではなく、ローゼルが狙われていたのかもしれないのです。
 その件は、未だ解決しておりませんでした。

「心配は要らないよ」

 安全とは言い切れないのに、自分の勝手で妻を一人にした事を悔やんで唇を噛み締めて居ると、宥める様な声がしました。

「お前の怪我みたいに動けないとか、寝込んでるとかの大事じゃない。たまたまあちらで調子を崩して、倒れてね。スグリ嬢が、ここで静養しないかと誘って下さったんだ。自分も不慣れで心細いから、ロゼが滞在してくれたら有り難いって、ね」
「そうでしたか」
「それに、本来ここよりあちらの方が、不届きな事をするのは難しい筈なんだ。あの時は、例外中の例外だったーー今は却って前より厳重になってるだろう」
「……そうですね」

 ビスカスはタンムの話に、まずは一安心致しました。領主様は義理と実の二人の息子の遣り取りを眺め、微かに微笑みました。

「あちらに出掛けるには、もう遅い。お前も疲れているだろう。今日は休んで、明日起きたら迎えに行くと良い」

 しかし。
 柊屋敷で静養しているという事は、体調は万全では無いという事です。不調の最大の原因は、恐らく自分が長く不在にしたせいでしょう。
 戻って来たからには一刻も早くローゼルに会いたくて、ビスカスは居ても立っても居られなくなりました。

「領主様。ご迷惑なのぁ承知ですが、今から、あちらに伺って来やす」
「しかし……」

 難色を示す領主様とは対照的に、タンムはくっくっと笑いました。

「言うと思っていたよ。止めたらまた家出しますよ、父上。……会えなかろうが入れなかろうが、行くんだろ?」
「へえ、まあ……」

 どっちみち一人で部屋に戻っても、安らぐどころか、一睡も出来ないでしょう。それならば柊屋敷の門の外の方が、よっぽど安眠出来そうです。

「仕方無いな。くれぐれも、失礼の無い様に」
「へい!ありがとうごぜぇやす!」
「ビスカス?」

 今にも出て行こうとすると、タンムが笑いながら声を掛けました。

「へえっ!」
「ロゼを頼んだぞ。サクナはスグリ嬢の件で、お前に恩が有るからな。夜中に叩き起こした位じゃ、失礼とも何とも思わないさ」
/270ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ