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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第2章 仕方のない問題
「……お義母上」
「お義母様!」
現れた人影達の先頭に居たのは、ローゼルの継母であり義母である、この家では奥方様と呼ばれている人物でした。
奥方様の姿を見て、タンム卿は苦々しげな顔になり、ローゼルは驚き、ビスカスはさり気なくローゼルの斜め前に歩を進めました。
「待ちなさい、今はタンムが」
「いいえ、貴方。これは、家の問題なのですよ?!」
奥方様は夫でありローゼルの父である領主様が止めるのを振り切って、怒り心頭と言った様子で、ローゼルとビスカスを鋭く睨み付けました。
「ローゼル!この男と結婚する、ですって?!正気なの?」
「……お早う御座います、お義母様。勿論、正気ですわ」
「馬鹿馬鹿しい。前にも言ったでしょう?釣り合わない結婚は、家の恥にもなるのですよ?」
「前にも申し上げましたが、釣り合わないとは思いませんし、家の恥だなどと思った事も有りません」
ローゼルは息を整えて、ビスカスの袖をきゅっと小さく摘みました。
「……私は、我が儘で自分勝手な性格です。我慢し続けるのも苦手です。結婚するからといって、それを急に改める事は、出来ません。自分が壊れてしまいます。
そんな風な今の私は、ビスカス以外の殿方とは、一生一緒に居られる自信が有りません。リアンではないとしても、ビスカス以外の殿方と添う気は有りません」
怒りと言うより哀しみを含んだ叫びにも似た言葉を聞いて、奥方様は一瞬毒気を抜かれた様でした。しかし、すぐに眉を顰めて嫌そうな顔になり、何事かを反論しようと致しました。そしてほんのしばらく後に、口元に皮肉な笑いを浮かべました。
「……それは、この男の策では無いの?」
「え?」
「子供の頃から、幼いローゼルに付き纏って、面倒を見る振りをして、我が儘放題に育つ様に、操って……最初から、別の殿方には目が向かない様に育ててお前を我が物にして、ゆくゆくはこの家を乗っ取るつもりで居るのではないの?……恐ろしい強か者だこと」
思いも寄らない事を言われて、ローゼルは頭の中が真っ白になりました。
それから、お腹の底からふつふつと、義母への怒りが沸いてきました。