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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
*
「……それで、引き止められたのね……?」
ローゼルはビスカスの胸の辺りに口づけて、少し眠たそうにも聞こえる声音で呟きました。水晶の薔薇たるローゼルは、安心して気を許している者の前でゆったりと心から寛いで居る時にしか、こんな姿は見せません。
ビスカスが話してくれるのを裸の胸を触れ合わせて聞いていると、声が体からも伝わって来ます。その感じが面白かったりくすぐったかったりで、ローゼルは同じ様な事が有った子どもの頃を思い出し、小さく微笑みました。
「へえ。その若いのと手合わせして……それで帰れりゃ、すぐだったんですけどねー?」
ビスカスは、ローゼルの髪を撫で、結う時の様にくるくると弄びました。
*
「……参りました」
若者との決着は、呆気無く付きました。
見た目と言動から予想した通り、体格と力で押す以外の戦い方を未だ知らない様でした。
若者は、攻撃を躱されては無駄な動きを誘われて、疲れさせられた所で予測していない方向に突然素早く動いたビスカスに背後を取られ、首の防御をする間も無く、絞め落とされる寸前で降参しました。
「お前、ビスカスを甘く見ただろう」
「ちょ、兄さん……甘く見てくれてなきゃ勝てなかったかも知れねんですから、責めねーどいてあげて下せえ」
ビスカスは親切心で、兄弟子の言葉に口添えをしたつもりでした。
しかし、地面に膝を着いて項垂れる背中の頑なさは、増して行くばかりです。敗者にとっては逆に傷口に塩をなすり込まれる様な、無用な気遣いと受け取られたのでしょう。
「基本的には、なりが大きければ有利だ。しかし、それが全てでは無い。良い勉強をさせて貰ったな」
「……有り難う御座いました」
「こちらこそ」
ゆっくり立ち上がり、ふらふらと建物に戻っていく姿を、ビスカスは心配そうに眺め遣りました。
「良かったんですかい?あんなに凹ませちまってー」
「良いのよーう、流石アンタね!!ほんっと、助かったわーあ!」
若者が去った途端、兄弟子はころっと本性を現しました。
「……それで、引き止められたのね……?」
ローゼルはビスカスの胸の辺りに口づけて、少し眠たそうにも聞こえる声音で呟きました。水晶の薔薇たるローゼルは、安心して気を許している者の前でゆったりと心から寛いで居る時にしか、こんな姿は見せません。
ビスカスが話してくれるのを裸の胸を触れ合わせて聞いていると、声が体からも伝わって来ます。その感じが面白かったりくすぐったかったりで、ローゼルは同じ様な事が有った子どもの頃を思い出し、小さく微笑みました。
「へえ。その若いのと手合わせして……それで帰れりゃ、すぐだったんですけどねー?」
ビスカスは、ローゼルの髪を撫で、結う時の様にくるくると弄びました。
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「……参りました」
若者との決着は、呆気無く付きました。
見た目と言動から予想した通り、体格と力で押す以外の戦い方を未だ知らない様でした。
若者は、攻撃を躱されては無駄な動きを誘われて、疲れさせられた所で予測していない方向に突然素早く動いたビスカスに背後を取られ、首の防御をする間も無く、絞め落とされる寸前で降参しました。
「お前、ビスカスを甘く見ただろう」
「ちょ、兄さん……甘く見てくれてなきゃ勝てなかったかも知れねんですから、責めねーどいてあげて下せえ」
ビスカスは親切心で、兄弟子の言葉に口添えをしたつもりでした。
しかし、地面に膝を着いて項垂れる背中の頑なさは、増して行くばかりです。敗者にとっては逆に傷口に塩をなすり込まれる様な、無用な気遣いと受け取られたのでしょう。
「基本的には、なりが大きければ有利だ。しかし、それが全てでは無い。良い勉強をさせて貰ったな」
「……有り難う御座いました」
「こちらこそ」
ゆっくり立ち上がり、ふらふらと建物に戻っていく姿を、ビスカスは心配そうに眺め遣りました。
「良かったんですかい?あんなに凹ませちまってー」
「良いのよーう、流石アンタね!!ほんっと、助かったわーあ!」
若者が去った途端、兄弟子はころっと本性を現しました。