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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
「『様』なんか付けないで、『ローゼル』って呼んだら?気を遣われる方が迷惑」
「リアン様っ……」
「それとも、嫌味?それか自慢?……ふん。意味無いし」
「リアン?それは、二人が夫婦になることを認めてあげてもいいって、あなたは思ってる……って事かしら?」
「へっ」
マリアの言葉にリアンは眉を顰め、ビスカスは目玉が飛び出そうになりました。
「……認めるも何も、とっくに結婚しちゃってるんだろ?」
「……へえ……仮ですけど……」
「初床だってちゃっかり済ませたって、タンム兄さんに聞いたけど?」
「……へえっ……すいやせんっ……」
仮婚礼の件は、ともかく。
ローゼルとリアンの為に設えられた初床をビスカスが使ってしまったというのは、リアンに指摘されると非常に後ろめたい事実です。
(あああああ……サクナ様っ……俺ぁ今頃になって初めて、茶会ん時に俺ん所に押し掛けてきたアンタの気持ちが、よーーーーく分かりやしたぁあああ……!!!!)
「別に、謝られる筋合いとか、無いから。今は却って、感謝してるし。」
埒もない事を考えているビスカスに目もくれず、リアンはぷいっとそっぽを向きました。
「……結局、僕は、この家を継ぐ事になったんだ。」
「えっ!?」
リアンはローゼルの元に、婿に入るという話だった筈です。それなのに家を継ぐ事になったと言うのはどういう事だろうと、ビスカスは首を捻りました。
「お母様とお父様に、言われたんだ。もうお前は余所には出せない、って。」
「それは……その……ローゼルっ……との、破談のせいで……?」
「違ってよ、ビスカス」
恐る恐る尋ねたビスカスに、マリアがころころと笑いました。
「叔母様が、こんな我が儘息子では恥ずかしくって外に出せない!!……って、お怒りになられたんですって」
「はー……なる」
なるほど、と言い掛けてそれが非常に失礼なことに気付き、慌てて口を閉じました。
「それだけじゃ、ないからね!!」
「へっ?」
「僕も、結婚したんだ。」
「…………………………は?」
ビスカスは、耳を疑いました。