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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
もしビスカスがリアンともう少し仲が良かったならば、「今の、もっぺん言ってみて頂けやせんか?」とお願いしていた事でしょう。
その位、聞いた言葉が頭で理解出来なかったのです。
「正確には、これで結婚出来る事になった、だけど」
「はあ……」
ビスカスはリアンが再び言った言葉を聞いて、最初に聞いた「結婚」という単語は聞き間違いでは無かったのだ、とぼーーーーーっと思いました。
「ロゼと結婚するのなら、薔薇の家への婿入りだから、百合は返上する筈だったんだけど……百合のまま家を継ぐことになったから、結婚の儀には百合の印が必要なんだ」
「へえ……」
「それで、リアンと叔母様が御印を確認してみたら、真っ赤な偽物にすり替わっていたの。でも、お持ちになってるお相手が、ちょっと厄介な方だったでしょう?事を荒立てる訳には、行かなくて……無くなってなんか居なかった風に、静かに取り返したかったのですって」
「はー……なーるほどー……」
今度は誰にも失礼では無さそうだったので、ビスカスは遠慮なく相槌を打ちました。
百合の印というのは、兄弟子が依頼を受けてビスカス達と取り返した、例の宝飾品の事なのでしょう。
ビスカスはそこでふと、あることが引っ掛かりました。
「……そのお印ってなぁ、もしかして……マリア様んとこにも、有んですかい?」
「ええ」
「……へー……それで、今回のご事情にも、お詳しいんですねー……」
引っ掛かった事が気になりつつも、単刀直入にそれだけ聞くのは躊躇われたため、何の気なしに軽い質問をしてみたのですが。
「そうね、それも有るわね。でも、私がこの件にこれだけ詳しい理由は、私もこの件の関係者だからよ」
マリアの返して来た答えは、ビスカスの予想を越えた物でした。