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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
「へ?関係者?マリア様ん所ぁ、鈴蘭のお家じゃねーんですかい?」
ビスカスが、そう聞いた時。
「ビスカス。」
「へいっ」
マリアでは無い人物から、答えが返って参りました。
「僕の所にお嫁に来るのは、マリアなんだ。」
「…………………………は?」
「ビスカス?」
「……へえ?」
口が開きっ放しのビスカスに、今度はマリアが告げました。
「私が、リアンと結婚するのよ。」
「……………あーーーー」
ビスカスは口を驚いた形に開けてしばらく考え、それからそのまま返事とも付かない声を出しました。
「……さいでしたかーー……おめでと…………ぅぇぇええええええええええっっっ!?!?!?!?」
「なんで、驚いてる訳?」
「や……いや、だって……ええっ?!」
「仕方ないわよ、リアン。私は年増だもの」
「やっ!いえっ、そんな意味じゃ」
「マリアは、年増なんかじゃないよ!」
「ありがとう。でも、どんな言い方をしたところで、私があなたより五つも年上な事に、変わりは無いわ」
(リュリュより更に、三つも上か……そうだよな……)
ビスカスは幼い頃の事を漠然と思い出しました。
共に遊んだ時、ローゼルの面倒を見ていたマリアは、確かにその位の年でした。マリアはビスカスより年下でしたが、妹が居ることや女の子である事で、他の男の子たちよりも、面倒見の良い姉さんらしく見えていたのです。
「やー……ほんとに、おめでとうごぜぇやす……姉さん女房ですかー……」
「そうだよ。何か文句ある?」
「いや、文句なんざ」
「リアン?すぐに喧嘩腰になるのは、良くない癖よ」
姉さん女房にたしなめられた若い夫は、無言で少しだけむくれました。
「それに、私達が結ばれたのは、言ってみればビスカスのお陰でも有るんだもの。感謝しなくっちゃ」
「へ?どーいう意味です?」
「だって、ロゼがリアンを振ってくれたお陰で、私にお鉢が回ってきたのだもの。……そう考えると、私たちの結婚は、ビスカスのお陰なのではなくて?」
そう言ってころころと笑うマリアに、リアンはむすっと拗ねた顔をして、ビスカスは恐縮して小さくなりました。