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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
「……それにしても……」
涙がやっと収まったローゼルは、ビスカスにぼそっと言いました。
「リアンったら……マリア姉様と……」
「へえ。お二人共、お幸せそうでしたよー。リュリュに、くれぐれも宜しくって」
「結婚は、分かるわ。リアンはマリア姉様の事も、大好きだったもの。マリア姉様も、リアンにいつも優しかったし……とっても、お似合いだと思うわよ?でも……」
ローゼルはほんの少しだけ、口籠もりました。
「……おめでた、は……」
「……あー……」
ビスカスはローゼルの言いたい事を察しました。ビスカス自身も思った事だったからです。
「……随分、早くないこと……?」
「……かもしれねーですけど……ま、お目出度い事ですからねー?お二人共すっげー嬉しそうでしたし、ご家族も皆さんお喜びだそうですし……それに、リアン様が格段にしっかりなさって、人の事にも気を回せる様になられてたんでさあ。ありゃあ、おめでたのお陰なんじゃねーかなー、って」
「そうなの……そうよね。秋には、お父さんになるんですものね。今度会ったら、見違える位しっかりしてるかもしれないわね」
「ですねー。まあ、ご結婚とご懐妊、二重にお目出度いってことで……終わり良ければ全て良しでさぁねー」
ビスカスとローゼルにとって一番良かったのは、手の早いリアンのおめでたの相手がローゼルになる事が、ぎりぎりで避けられた事でしょう。
しかし、それを口に出すのはリアンとマリアに失礼過ぎたので、二人それぞれが口には出さずに、こっそり胸を撫で下ろした事でした。
「……あ。そうだ」
ある事を不意に思い出し、ビスカスは渡りに船とばかりに話題を変える事にしました。
「なあに?どうかしたの?」
「へえ。お土産……ってか、贈り物が、有んですけど……」
「えっ?!」
それを聞いてローゼルは顔をぱあっと輝かせましたが、逆にビスカスの顔は曇りました。
「でも、ですね……そいつぁ、リュリュにゃあ要らねーもんだったかも知れなくて、ですね……どーしたもんかなーと」
「……それ、どういう事?」
「実は……マリア様達にお会いする前に、こんな事が有ったんでさあ」
ビスカスは少し話しにくそうに、ぽつぽつ話し始めました。