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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第10章 しずくの薔薇
「……そいつが指輪になってからでも、石っころのまんまの間でも……もし、なんかの拍子に無くなっちまったって、リュリュがこんなに喜んでくれたって思い出だけ有りゃあ、俺ぁ充……ぶぎゅっ!!」
「失礼ねっ!」
ローゼルは片手で水晶を持ちながら、空いた片手だけでビスカスの口角辺りに親指と人差し指を当て、口を縦長に摘みました。
「無くしたりなんか、しないってば!!大事にするって、言ったじゃないの!!……それに、」
ローゼルはビスカスの口を縦に摘まんだまま、にっこり満面の笑みを見せました。
「水晶は、カビたり虫が湧いたり腐ったりなんかも、しないものねーえ?……オレンジの時とは、違うことよっ!!」
「ぐっ……」
(なんだ……なんだこりゃ……?!)
ビスカスは口の縦摘みを脳内ローゼル暴虐コレクションの新たな一ページとして加えつつ、先程からローゼルに感じていた意外さの正体に気付きました。
「……ルっ……リュリュ……?」
しばらくしてようやっと口が解放されたビスカスは、強張る口元でローゼルに恐る恐る問い掛けました。
「なあに、ビスカス?」
「もしかして、なんですけども……こちらにお世話んなってる間に、なんだか……こちらのご夫妻に、どことなーく、似て来られちゃあ、いやせんか……?」
ビスカスは先程からのローゼルの態度が、スグリの天然やサクナの意地悪を彷彿とさせる物を含んで居る事に気付いたのです。気付いて、思わず背筋がひやっと涼しくなっておりました。
「ほんとっ?!私、お姉様に、似てきてるっ?!」
水晶を持っている手を口元に当ててもう片方の手で握り締め、ローゼルは嬉しそうに目を輝かせました。