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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
ビスカスはスグリと初めて会った時から、何故か、気が合いました。
スグリは都のお姫様で、ビスカスは元々領主様の所の使用人で、お嬢様の護衛で、今やっと婚約者になったところです。共通点は無さそうなのに、ビスカスはスグリに師匠と呼ばれる程の仲良しです。……師匠と言っても、「下ネタ」の師匠ですが。
下ネタに興味を持つ妙齢の女性など、スグリくらいのものです。下ネタが嫌われるのは、仕方がないと言えましょう。
しかし、下ネタではなく二人で楽しく話しているだけであっても、バンシルには白い目を向けられている気がする事が有りました。
「サクナ様に睨まれんなぁよーく分かりやすけど、バンシルさんにまででしたでしょ?俺ぁ、リュっ……ローゼルにも良く罵られてやしたし、よっぽどお……んなウケが悪ぃんだなーって、思ってやした」
思わず「お堅い女」と言い掛けたのですが、ぎりぎりの所で言い直しました。
「それはあなた自身のせいというより、くだらない下ネタ趣味のせいですね……はい、立ってみて下さいな」
「へいっ」
ビスカスがしゃきっと立つと、バンシルは置いてあったブラシで、服の埃をはらいました。それから着ていなかった上着を着せかけて、袖を通し終えたビスカスを矯めつ眇めつ眺めました。
「……大変結構ですね。ローゼル様も、ご満足なさるでしょう……そのボタンさえ、きちんと留めれば」
「いえっ!いえいえいえっ!」
じろっと見られ近付かれて、ビスカスは手を振りました。
首を締め付けられるのが大嫌いなので、ローゼルと顔を合わせる寸前まで、開けっぱなしで居たいのです。
「こりゃ、自分で!自分でちゃあんと、やりますんで!!今は、勘弁して下せえ!!」
「……分かりました。私が見逃したとローゼル様に疑われぬ様に、くれぐれも、宜しくお願い致します」
バンシルはそこで一つ咳払いをしました。
「本日は、誠におめでとうございます。ローゼル様にも先程申し上げましたが、」
バンシルはビスカスに向かって、優雅なお辞儀を致しました。
「これからもご夫婦揃って私の主のご友人として、末永くお付き合い頂けましたら、心より幸甚で御座います」