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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「……大丈夫ですかね……」
「大丈夫みたい。少し赤いけど、傷になってはいないわ」
「や、そりゃ」
(そりゃあ、丈夫で大丈夫に決まってやすよ?お小せぇ頃からさんざん抓くったり引っ張ったり伸ばしたり押し潰したり引っ叩いたりして俺の頬っぺを鍛えなすって下さったなぁ、リュリュじゃねーですかい)
ビスカスはそう答えましたが、固くなっていていつも程には口が回らなくなっていたのでその答えは口からは出ず、幸いなことにローゼルのご機嫌は損ねずに済みました。
「……お陰様で、大丈夫ですけど」
「お陰様?」
「あの……そーじゃなくってですね」
ビスカスは自分の頬に触れている手が壊れやすい細工物であるかの様に、そっと手を重ねました。
「親族の異議申し立てぁ、大丈夫かなーって」
「何故?」
「こんな、女神様みてーな……や、女神様もびっくりするくれぇ綺麗な嫁御様と並ぶのが俺ってな、随分と物足りねーよなぁって」
「……格好良いって、言ったじゃないの」
「へ?」
「あなたの正装は見蕩れる位格好良いわ……今日は、特に素敵」
ローゼルはビスカスを見て、うっとりと微笑みました。そして頬を撫でて重ねられたビスカスの手を取ると、恭しく唇を押し当てて口づけました。
「いつもより、髪もちゃんとしてるし……髭も剃ったのね」
「あー。隣で、バンシルさんに捕まりやして」
「……バンシル……?」
浮かれ果てていたからでしょうか。
ローゼルの眉がぴくりと動いた事に、ビスカスは珍しく気付きませんでした。