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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「バンシル……さんに、髪を梳かして貰ったの……?」
「へい。そうお頼みになったんでしょ?リュリュの気に入る出来になってるかどうかって、随分気になさってやしたよー」
「……頼んだ……」
「今日ぁみんなリュリュのお支度で忙しくって、俺どころじゃあ無かったでしょうからねー。バンシルさんが居て下すって、好都合でしたねえ」
「……好都合……」
「さすがスグリ様の長年のお付きだけありやすねえ。手際が良くて、お上手でしたよ」
「……そう……」
「あ、でも、スグリ様ぁ、髭ぁ剃らねーですよねえ?……慣れてる筈ぁ、ねーですよね……って事ぁ、元々器用なんでしょうかねー?」
「…………」
ローゼルは無言で、ビスカスに向かって手を伸ばしました。
「へっ!?リュリュ?!」
「……ビスカスはこの位の方が、ビスカスらしいのよっ」
ビスカスの前髪をちょいちょいと乱しながら、ローゼルはぶつぶつ呟きました。
「……へえ……?」
「これからは、私がするから。」
「へ?」
「今日は、仕方ないけど……」
「うっ」
ローゼルはビスカスの襟元のボタンを、きゅっと閉めました。
「これから、あなたの正装の支度は、私がするから。」
「え……良いんですかい?そんな、雑用みてーな」
「雑用じゃ無いわ。夫の身支度を整えるのは、妻の仕事ですもの」
ローゼルはいつの間にか、ビスカスの手を両手でぎゅっと握り締めておりました。