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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「おはようございます、皆様」
ビスカスとローゼルは、入室して、一礼しました。
顔を上げて見ると、部屋の中には家族と、親族として招かれた麗氷の百合と鈴蘭の継承者がおりました。
「……本日は私達の為にお集まり頂き、有り難う御座います」
「お早う、ローゼル。お早う、ビスカス」
一同を代表する様に、父親である領主様が、ローゼルに挨拶を致しました。
「これから、お前達二人の婚姻に対して、親族の承認を得る為の式を行う」
「はい」
「まず、お集まりの皆様お一人お一人に、挨拶を。その後、お前達がこの婚礼について誓う言葉を。この場に居る者で異議の有る者がもし有れば、その者の意見を聞いて返答をする様に」
「かしこまりました」
「それから、慣例の踊りだが……」
「はい」
「ローゼル。今日お前と踊るのは、兄達と私の、三人だ」
「!」
ローゼルもビスカスも声には出しませんでしたが、大層驚きました。次兄のタンムひとりが踊るものだと思っていたのです。
親族との踊りは同じ物が三度繰り返されますが、途中で花嫁の相手が代わる事は、稀でした。しかも、領主様も長兄も、自分の婚礼以外で踊った事の無い様な、踊りと無縁の人々です。
領主様の言葉は、淡々と続きました。