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初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
「そこまでで了承が得られて居れば、その上で……お前が婚姻を結びたいと願う者を相手に、婚姻の承諾の踊りを行う様に」
「……はい、お父様」
ローゼルはビスカスを見てうっすらと微笑み、ビスカスは小さく頷いて口元を少しだけにやっとさせました。
「何か、質問は?」
「御座いません」
領主様はうなずいて、ローゼルとビスカスを順に見ました。
「では、皆様に挨拶を」
「はい」
二人は声を揃えて返事をすると、居並ぶ人々のうち、一番近い所に居る客の正面に移動しました。
*
「久し振りだね、ロゼ。こんにちは、ビスカス」
ローゼルの元婚約者でもある従兄弟は、軽くお辞儀をした二人に屈託なく微笑みました。
「ごきげんよう、リアン。わざわざいらして下さって、ありがとう御座います」
優雅な正式のお辞儀をし直した従姉妹の手を取って、唇を付けない口づけの挨拶を返すと。
男性ながら麗氷の百合と呼ばれているリアンは、誰もが見惚れずには居られない魅力的な笑顔を綻ばせました。
「今日は、楽しみにして来たんだよ?ロゼ姉さんは、どんなに素晴らしいお相手と結婚するんだろうって……ねえ、ビスカス?」
「……遠方よりご足労頂きまして有り難う御座います、リアン様」
「ん?『様』は要らないんじゃないかな?義理の従兄弟に対しては、他人行儀だと思わない?……あれ?なるんだよね?なりたくない?僕の義従兄弟」
「はい、リアン…………っ」
「うん。親族は、仲良くしないと……慣れて欲しいなあ、もしその気が有るんなら……ね?ビスカス」
「……仰る通りですね、……リアン。」
リアンは鷹揚を装って嘯くと面白そうににやりと口の端を上げ、ビスカスは無表情に返答して会釈しました。