この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされ過ぎて困っています
第11章 器用さの問題
麗氷の鈴蘭の家で印を継いだのは、長女のマリアではなく、ローゼルよりも若い妹のミラの方でした。
鈴蘭の姉妹は、性格や雰囲気がまるで違います。
姉のマリアは、整った顔立ちではありますが、大柄で骨太で男勝りで、よく言えば大らか、悪く言えば大雑把な性格です。
妹のミラは鈴蘭の名に相応しく、清楚で控え目、小柄でほっそりしており、可愛らしい顔の割には北国の育ちらしい芯の強さも持っています。
姉妹のどちらが家を継ぐという様な決まりは無かったのですが、マリアが鈴蘭の印の主になるのは自分の性に合わないと言った事と、ローゼルとの破談で落ち込んだリアンと契って身籠もり結婚が決まったため、ミラが婿を取って家を継ぐ事になったのです。
「こちらが、婚約者様でいらっしゃるの?」
「はい。私の夫になる、ウォルフガングです」
ミラは娘らしく頬を染め、側に控えていた体格が良く野性的な雰囲気の有る男性を紹介しました。
「ウォルフ。私の従姉の水晶の薔薇、ローゼル様と、お相手のビスカス様よ」
「初めまして、ウォルフガング様」
ローゼルとビスカスは、麗氷の鈴蘭のお相手の殿方にお辞儀を致しました。
「初めまして、ローゼル様、ビスカス様。どうぞ、ウォルフとお呼び下さい」
ウォルフは恭しくローゼルの手を取って頭を垂れ、ビスカスには握手を求めました。
「私からもおめでとうを言わせてね、ミラ」
「ありがとうございます」
「私もだけど、リアンとマリア姉様も、それにミラも結婚だなんて……今年は、おめでた続きね」
「はい、本当に」
ミラは傍らの婚約者を見上げ、嬉しそうに微笑みました。